7月30日から31日にかけて、インド北部で大規模な停電が発生し、6億人以上に影響が出た。停電は史上最大規模のもので、インド全国で400本の列車が運休になるなどした。
インドでは各州が次の日に消費予定の電力量を前もって申告し、当日はその分だけ電力を使うシステムになっている。しかしこの日は所定の使用量を大幅に超える電力を引き出した州があったため、システムがクラッシュしたものと見られる。
安定した電力供給は国の経済全体に関わる大問題である。インドでは送電システムが満足に整備されておらず、3億人に電気が届いていないほか、電力使用のピーク時には10%の電力不足が慢性的に生じている。たびたび発生する停電の影響で、経済成長率の1.2%が押し下げられているとインド政府は試算している。
十分な電力を供給できなければ、その国の経済成長は頭打ちになる。「昨年の夏を節電で乗り切れたのだから、原発はやめてもよい」という声が日本では聞こえるが、十分な電力なしでは現在の豊かで文化的な生活を維持できないという事実を、去年の計画停電で日本人全体が学んだはずである。
原発反対派は「経済よりも人の命が大事だ」と言うだろうが、電力が不十分で経済が停滞すれば、給料カット、失業、倒産の嵐が国民の生活を苦しめる。やはり原発を含めた安定した電力供給を日本は目指すべきである。
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