民主党の鳩山由紀夫元首相が20日、首相官邸前で行われた「反原発」の抗議行動に参加。「官邸の壁が厚くて聞こえなくなっている。私も多いに反省している」と、政権与党の元首相でありながら現首相に対して異例の演説を行った。

原発再稼動に反対する抗議集会が毎週金曜日夕に、東京・永田町の国会前や首相官邸前で行われ、異常な盛り上がりを見せている。

同じ週の16日には、東京・代々木公園で「さようなら原発10万人集会」が行われ、坂本龍一、大江健三郎、瀬戸内寂聴、落合恵子、鎌田慧、内橋克人、SUGIZOら著名人が呼び掛け人となった。

集会開催の中心となったのは、「原発ゼロ」を求める1000万人の署名を集める活動をする「さようなら原発1000万人アクション」事務局の井上年弘氏。同氏は原水爆禁止日本国民会議(原水禁)の事務局次長でもある。

この集会とデモには、労働組合や日教組、市民団体なども多数参加していたようで、大江氏、落合氏らを引き合いに出すまでもなく、「反原発」運動を主導する人たちの精神的な根っこには、左翼的な「反戦・平和主義」思想がある。

「命を大切に」「人権を守れ」「子供たちの未来を守れ」という情緒的な美辞麗句が、真正面から否定され難いのを良いことに、数と声の大きさで、真実を訴える人たちの正論をかき消してしまうことは、ある意味で「言論の自由」を奪っているのではないだろうか。

現実を直視せず、人間の自助努力や創意工夫、発展・向上してゆこうとする前向きな精神を否定するような発想が、国全体を貧しくし、他国からの侵略にも無頓着にしてしまうのだということは、今の民主党政権の言動を見れば明白である。

世界的に有名な人たちが、自分自身の影響力の大きさを武器にして社会を動かしてしまう今の状態は、大変危険だ。もっと冷静に、「誰が正しいか?」ではなく「何が正しいのか?」を考えるべきであろう。〈宮〉

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