患者本人の意思が不明でも、家族の承諾で脳死臓器提供ができるようになった改正臓器移植法の全面施行から17日で丸2年。これを機に読売新聞が実施したアンケート調査で、病院側と患者の家族が話し合ったものの臓器提供に至らなかったケースが、提供に至ったケースの約3倍多いことが分かった。

以下17日付読売から抜粋。

  • 調査に回答した施設で、これまでに医師が脳死状態と判断した611人のうち、家族の承諾を得て脳死臓器提供されたのは60人(10%)。家族と話し合われたが提供されなかったのは171人(28%)だった。半数の305人は、臓器提供の意思の有無を家族に確認しなかった。
  • 提供を断った家族は「体を傷つけずに見送ってあげたい」「今は考える余裕がない」などと答えることが多かった。臓器提供するかどうか家族が3日間迷い続け、医師が見かねて提供を断念した例もあった。上智大学生命倫理研究所の町野朔教授は、「脳死がまだ一般的に人の死と受け入れられていないからだろう」と分析している。(抜粋、以上)

同日付の産経も、年間70人前後は出ていると思われる15歳未満の脳死患者について、この2年で2例しか臓器提供が出ていないことを伝え、「課題多く」としている。

自分や家族の臓器を他の人のために役立てたい気持ちは、尊いものだろう。だが本誌が繰り返し伝えているように、人の死は心停止の約24時間後に魂が体を離れた時であり、脳死の段階ではまだ死んでいないというのが霊的真実だ。脳死の時点で体にメスを入れられたら、生きている私たちがメスで体を切り裂かれたのと同じ痛みと驚愕を魂が感じて大変なことになる。それが脳死臓器提供の現場で起きていることなのだ。

脳死患者の体を傷つけたくない家族は、患者の魂が肉体の中でまだ息づいているのを無意識に感じているのではないか。人の生死は、脳波など物理的に測れる徴候だけで決まるものではない。現代医学はそのことを謙虚に認めるべきである。(司)

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