11日付の日本経済新聞がミャンマーのティン・ナイン・テイン国家計画・経済開発相へのインタビュー記事を掲載している。ミャンマー政府が目標とする「2015年までに年率7.7%の経済成長」や「国内総生産を3倍に引き上げる」計画について、同相は「達成できるかは日本次第」と答え、いまだ慎重な日系企業の進出を期待している。

日系企業がミャンマー進出をためらうのは、同国の「外国投資法」とインフラ整備の遅れが大きな原因だが、ミャンマー政府は同法の改正とインフラ整備を進めている。同法が改正されれば、外資企業の法人税免除期間の延長や、民間からの土地利用権取得などが認められるようになる。また、外資はミャンマーで製品を販売することを禁じられているが、これを解禁することも検討されている。

インフラ整備では、特に電力供給能力の向上が問題となっている。日本はこの分野でも協力を期待されており、2012年1月、経済産業省はミャンマー政府に対し、水力発電所の建設など、将来のインフラ整備のための基礎調査を実施することを表明した。また、最大都市ヤンゴン近郊のティラワ地区で経済特区開発が進んでいるが、こちらは日本からの円借款によってインフラを整備することが決まっている。

ミャンマーは軍事政権時代、隣国の中国に経済的に依存していたが、新政権はその関係を変えようとしている。昨年9月にはミャンマーのセイン大統領は、中国との国境地域に建設中の、中国が投資する水力発電用ダム計画を中止した。アメリカや日本など自由主義国との結びつきを強め、中国を牽制する意図が読み取れる。

日本の経済力は、アジア諸国の経済成長のみならず民主化を進める力にもなりうる。1995年にアウンサンスーチー氏が1回目の自宅軟禁から開放された背景にも、最大援助国である日本の働きかけがあった。日本は今後も経済的協力を進めながら、政治的にもミャンマー及びアジア地域全体の民主化を支援していくべきである。(晴)

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