中国海軍の東海艦隊が、10日から東シナ海で6日間にわたる大規模な実弾射撃演習を始めた。海外メディアは「尖閣諸島での実戦を想定したミサイル射撃演習」などと伝えている。
同日付の韓国最大手紙「朝鮮日報(web日本語版)」によると、中国海軍が演習を行うのは尖閣諸島の北320キロの海域で、期間は15日まで。最新鋭の揚陸艦、対潜艦、護衛艦のほか、中・短距離ミサイルが発射可能なステルス高速艇も投入し、尖閣諸島を狙った実戦を想定したミサイル射撃演習を行うとしている。
9日付韓国紙「中央日報」も、「今回の中国の東シナ海での演習は、日本に対する警告だと見られている」と報じた。この演習について、日本のマスコミはあまり大きく報じなかったが、中国の強硬姿勢は侮れない。
9日付の国際情報紙「環球時報」は、中国人民解放軍の羅援少将の寄稿を掲載。羅氏は「釣魚島の主権が中国に属することを行動で示さなければならない」と強調し、尖閣付近での軍事演習区の設置や、周辺で操業する中国漁船に民兵を乗船させることなどを提案したという(参考:10日付産経新聞)。
また、環球時報は、同じ日の紙面の論評で「もし、日本が釣魚島問題で中国と争ったとしても、まったく勝ち目はないだろう」と日本を牽制。環球時報は、中国共産党の機関紙・人民日報系の情報紙であり、こうした対日強硬論を掲載して、日本の出方をうかがっているのだ。
尖閣を行政区域に抱える、沖縄県石垣市の中山義隆市長は5月下旬、本誌の取材に対してこう話した。「中国の漁船による尖閣諸島周辺での違法操業というものは以前からありましたが、2010年の尖閣事件以降、公船の領海侵犯が目立ち始めました。脅威がじわじわと近づいていることを感じています」
わざわざ中国側が"予告"してくれているように、今後、中国の漁民や民兵が、尖閣などの日本の無人島に上陸してくることは十分に考えられる。中国が有事を想定している以上、日本もそれに備えなければいけないのは当然だ。日本政府は早急に、無人島の防衛強化や海保・海自の役割の明確化、憲法を含めた法整備などを進める必要がある。(格)
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