2012年8月号記事
ワシントン発
バランス・オブ・パワーで読み解く
伊藤貫のワールド・ウォッチ
(いとう・かん)
国際政治アナリスト。1953年生まれ。東京大学経済学部卒。米コーネル大学でアメリカ政治史・国際関係論を学び、ビジネス・コンサルティング会社で国際政治・金融アナリストとして勤務。著書は『中国の核戦力に日本は屈服する』(小学館)、『自滅するアメリカ帝国』(文春新書)など。
国際政治はバランス・オブ・パワー(勢力均衡)から逃れることはできない。アメリカの退潮、中国の台頭、北朝鮮の核武装──。日本の置かれた立場は確実に不利に傾いている。日本が主体的にパワー・バランスをつくり出すために、国際情勢をどう読み解けばいいのか。
第4回
世界にとって望ましいのはオバマか? ロムニーか?
──アメリカの大統領選が接戦状態になっています。
今年3月から5月初旬までの世論調査は、「オバマは、共和党のロムニー候補に対して約10%の差でリード」でした。ところが6月になると、両者の差は3%程度にまで縮まりました。
しかし、米マスコミの世論調査は民主党側に有利なバイアスのかかったものが多いので、「3%程度の差」は無意味です。現在、 両候補は実質的な接戦状態、もしくは「ロムニーがやや優位」 という状態でしょう。