富山県の病院で、低酸素性脳症の6歳未満の男の子が脳死と判定され、15日、6歳未満初となる臓器の提供と移植手術が行われた。

男児の家族は「息子が誰かの体の一部となって、長く生きてくれるのではないかと。そして、このようなことを成しとげる息子を誇りに思っています」とのコメントを発表した

だが、重い決断をした家族の心は、『本当にこれでよかったのか』という葛藤のなかで苦しみ続けるがゆえに、心のケアが大切だと専門家は言う。

されど、「知らない」ということは実に悲しいことだ。

2009年4月26日、幸福の科学・郡山支部精舎(福島県郡山市)で、大川隆法総裁は「帰依の心」と題する説法で、不幸にも幼くして亡くなる子供やその家族の人生について、次のように説かれた。

「すべての人が自分の天命を読むことはできないから酷だとは思うが、その人の天命、使命があると思う」「合理的な範囲内で努力して変えられるものもあるが、大きな意味の天意があって、降りかかったものの中から、この世の修行課題を見抜いていかないといけない」

本誌・本欄で繰り返し明らかにしてきたように、霊的真実から言えば「脳死は人の死ではない」。この段階で臓器を取り出せば、あの世への旅立ちが妨げられてしまう。

大川総裁は同じ説法でまた、脳死臓器移植が許される条件があるとして、このように説いた。

「最低限、あの世があり、人間の本質は霊的存在であるという仏教的な悟りを受け入れ、自己犠牲の観点から『私の寿命は尽きたので、移植される人を生かしたい』という場合だ。相手も感謝して受け入れれば、その人の病気がよくなることはある」

改正臓器移植法のもと、家族の同意のみで脳死臓器移植への道が開かれたが、家族も医療者も、ともに脳死者の霊的真相を謙虚に受け止め、宗教的理解を深めることはとても大切だ。

一方で、日本は、1歳から4歳までの死亡率が、先進14カ国の中でワースト2位となっている。

子供の救急医療体制充実の遅れを取り戻すべく、子ども専門の救命救急施設「PICU(小児集中治療室)」について、診療報酬を加算するなど、国は2012年度から対策をスタートした。

6歳未満の子供の脳蘇生における再生力は高い。脳死状態にならないような救急医療の技術と運用のレベルアップが急がれる。脳死状態になったお子さんも、臓器移植を待っているお子さんも、ともに救える医療へと進歩してほしいものだ。(善)

【参考記事】

2011年9月4日付本欄  脳死判定 18歳未満2例目 「脳死は人の死ではない」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2784

2011年6月号記事  脳死臓器移植を 美化すべきではない

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1858

2011年7月19日付本欄 改正臓器法施行1年 脳死後も「生存」の子供続出

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2431

2011年4月12日付本欄  15歳未満の子供に、初の脳死判定

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1746