今年4月に行われた北朝鮮の軍事パレードに登場した新型の弾道ミサイルが、実は昨年8月に中国が北朝鮮に輸出していたものだった、と13日付朝日新聞が一面トップで報じた。だが、すでにこの件は長谷川慶太郎氏が幸福の科学の精舎で5月に語っており、朝日の記事はその「後追い」だ。

中国は昨年8月、弾道ミサイルの運搬・発射用の大型特殊車両4両を北朝鮮に輸出。日本政府が同10月に車両を運んだ貨物船で輸出目録を発見し、入手したことから判明したという。この輸出は北朝鮮への大量破壊兵器関連物資の輸出などを禁じた国連安全保障理事会制裁決議に違反する。決議に反する対北支援を一貫して否定してきた中国の主張が崩れた。

しかし、今回に限らず中国の対北支援は、実は中国共産党も知らずに行われたことなのではないか。

国際エコノミストの長谷川慶太郎氏が、5月20日幸福の科学・東京正心館で行った講演によれば、中国人民解放軍の軍区のうち瀋陽軍区が独自に北朝鮮を操っているという。

長谷川氏は独自の情報ソースをもとに、以下のように語っている。

  • 瀋陽軍区は軍事的にも北朝鮮を指導している。今年4月、金日成生誕100周年の軍事パレードがあったが、そこで登場した大陸間弾道ミサイルもそれを積む車両も瀋陽軍区が貸したもの。北朝鮮が準備している核実験も、瀋陽軍区の幹部が指導して進めている。北朝鮮が核兵器を持つならば、それは実態としては瀋陽軍区の核保有である。
  • アメリカは、中国共産党のコントロールを受けない人民解放軍を最も警戒し、対応措置を取っている。
  • 瀋陽軍区が北朝鮮に3回目の核実験をさせると一番困るのは北京の共産党指導部。国際社会での体面を重視して北朝鮮を非難する側になると瀋陽軍区を刺激し暴発させる。瀋陽軍区が反乱を起こした場合、北京政府はそれを鎮圧する軍事力を持っていない。
  • 人民解放軍の陸軍のうち、戦車などの車両を中心とする機械化部隊5つのうち4つまでが瀋陽軍区にある。それ以外はみんな馬に乗っているから、勝てるわけがない。

中国は国土を7つにわけ軍区という単位で管轄させている。今回問題とされる瀋陽軍区は日本の陸自総兵力16万人に対し、兵力25万~47万人を擁し、仮想敵を自衛隊、韓国軍、在日米軍、在韓米軍としている。

日本のマスコミ報道は、これまで「北朝鮮を説得できるのは中国だ」という論調で来たが、今回の件では中国が北朝鮮の背後から糸を引いているというのだ。さらに、中国共産党が瀋陽軍区をコントロールできず、きわめて危険な状態にあることを見抜かねばならない。(悠)

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