大阪府独自の学力調査が12日、私立校を含む府内31市町村の約940校に在籍する、約10万3千人を対象にして行われ、小学6年生は国語と算数、中学3年生は、国語、数学と英語のテストに取り組んだ。

「大阪版学力テスト」は、文科省が実施した「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」が、2010年度に全員参加方式から抽出方式へと変わったため、各校の学力状況が正確に把握できないとして、橋下徹大阪市長が、前府知事時代にスタートさせたもので、政令都市である大阪市と堺市を除く41市町村で実施された。

しかし、昨年の大阪府・市W選挙で勢いを伸ばした大阪維新の会の意向を受け、保護者の協力を得るために児童・生徒個人へ結果のデータを提供しようという大阪府教委の決定に対して、「子供を通じて塾や教育関連業者が情報を集め、学校が序列化される恐れがある」

と反発した12の市町が、今年度は参加しなかった。

参加しなかったのは、昨年度と同じ大阪、堺の2市の他、箕面市、大東市、大阪狭山市、泉大津市、高石市、阪南市、泉市、豊能町、能勢町、熊取町。堺市は独自予算で学力調査を実施したが、学校別の結果は公表しない予定だ。

文科省が主導した学力調査においても、そのデータの使い方は、各自治体や学校に一任され、十分に活用されたとは言えなかったが、「塾が学校を序列化するためにデータを悪用するのでは?」という懸念は、的外れもいいところだ。

民間の塾では、地元の子供たちの学力――つまり、各学校の教育レベルを把握することは、適切な指導のための大前提であり、どの学校の児童・生徒がどの程度の学力を身につけているかは、すでに知れわたっている。

また、「孟母三遷」の譬えを引き合いに出すまでもなく、保護者が我が子に良い教育環境を与えるために居住地を選択するのも、ごく当たり前のことになっている。分譲住宅の広告に観られる「文教地区」のキャッチコピーは、子を持つ親の心を強く動かしているはずだ。

任期途中で辞職した府教育委員の後任に6月初め、学習塾を経営する木村知明氏が任命されたが、民間の常識を、ぜひとも公立学校の先生方に知らしめていただきたいものである。〈宮〉

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