中国大手検索エンジン「百度(バイドゥ)」がこのほど、閲覧禁止となっていた法輪功情報を解禁した。

アクセスが可能となったのは、不法逮捕・監禁されている法輪功学習者・王暁東氏を救出するための陳情書に村民が署名・捺印した「300人捺印陳情書」事件の関連内容のほか、国民に法輪功への嫌悪感を与える意図で当局によって仕組まれた「天安門焼身自殺」情報だという。

法輪功(ファルンゴン)は中国伝統文化の気功による心身健康法で、1993年の東方博覧会で最高奨を受賞し、当初は中国政府もその健康効果を評価していた。

1999年には中国全域で7千万人、全世界で1億人にまで広がったという。

学習者の増加に伴い法輪功批判の記事が増え始め、抗議行動を起こした同団体に脅威を感じた江沢民氏により弾圧が始まったとされる。

弾圧から13年、このほど衛生庁から「気功を学習し、臨床に応用すること」との指示が出され、前述の情報解禁となったが、これには、法輪功弾圧を是正しようとする温家宝首相らの後押しではないかとの指摘もある。

ある海外メディアは、政権内部からの情報として、同首相が法輪功への正当な評価を提起してきたと伝えている。この提起に反対していたのが、元共産党委員会の薄熙来書記だったと言い、同氏の失脚を機に、江沢民派が行ってきた法輪功弾圧の情報が明らかになったという。

中国共産党によるチベット人、ウイグル人などへの人権弾圧が続く中で、法輪功弾圧の情報検閲のみが緩和されたのには、この他にも理由がある。

中国の評論家によると、人権弾圧は汚職よりもはるかに罪が重く、特に、法輪功弾圧は極めて残虐で被害者の数が膨大であるため、中国共産党の官僚たちは、政権崩壊後に処罰されることをもっとも恐れているという。そのため、弾圧に関わりのないメンバーには、江沢民派と一線を画したいという思惑があるという。

さらに法輪功弾圧については、江沢民と胡錦涛国家主席・温家宝首相とは意見が食い違っていたとされ、胡・温政権には、「どうせ共産党が崩壊するなら、法輪功弾圧の実態を暴露して手柄を立てよう」との思惑があり、そのタイミングを判断しているところだという一部報道もある。

また、ある中国メディアが伝えた情報によると、同国のキリスト教徒は地下活動も含め1億人を超え、「第2の法輪功」の出現として、共産党による信仰活動の妨害が始まっている。

しかし今や、情報統制や宗教弾圧などで、人心を抑え続けることは不可能であることを中国共産党の人々はそろそろ認めるべきだろう。

現在、全国公開中の映画「ファイナル・ジャッジメント」では、神の子・仏の子としての価値や信仰の自由を訴えた宗教家の説法によって、独裁国家の民主化が実現する。

中国にもそのような時が訪れ、人々が心の拠り所を得られることを願ってやまない。(清)

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2012年7月号記事 特集「ファイナル・ジャッジメント」が描く日本の危機

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