2日から全国公開された映画「ファイナル・ジャッジメント」は、宗教的使命に目覚めた青年が日本の政治と隣国の全体主義体制を変革していくまでのプロセスを描いた映画であり、政治と宗教の両方にまたがったメッセージが込められている。

政治と宗教というと、戦後の日本人は「政治に宗教が関わってはいけない」と政教分離の意味を誤解する。しかしそれでは、宗教に限って政治参加の自由が認められないということになり、憲法違反である。

海外においても、政治の変革と宗教勢力とは密接に結びついている。

ミャンマーでは、1988年に社会主義政権が崩壊して以来、長年、軍事独裁政権による圧政が続いていた。昨年、軍政が解除され、限定的ながら民主的選挙が実施され、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんらが国会議員に当選した。その裏には長年にわたって民主化を求めて活動してきた仏教界を中心とした宗教界や知識人らの粘り強い運動があった。

ミャンマーでは、仏教のみならずキリスト教も普及し、宗教勢力が非常に強い社会的影響力を持っている。民主化を求める知識人層や労働組合なども、宗教家や宗教勢力に支えられてきたと言っていい。

特に2007年9月には、全国的な僧侶のデモが発生し、治安当局による制圧で日本人ジャーナリスト1人を含む多数の死傷者が発生した事件は記憶に新しい。この事件がミャンマー民主化実現のきっかけになったのだ。

旧ソ連の最後の共産党書記長で最初の大統領であったゴルバチョフ氏は書記長就任後、イギリスのサッチャー元首相に「自分はロシア正教徒で洗礼も受けている」とそっと話をしたそうだ。それを聞いたサッチャー氏は、「彼ならばまともな交渉ができる」と判断し、それ以後、イギリスとソ連の関係が親密化。東欧諸国やソ連の社会主義政権の崩壊へと導き、ドイツ統一までヨーロッパの安定を維持することができた。

大きな改革や変化が起きる背景には宗教や信仰心の力があると言っていい。映画「ファイナル・ジャッジメント」が描いた、宗教による世直しのパワーが今後現実化していくだろう。(弥)

【関連記事】

2012年1月号記事 【無料記事】新宗教15の疑問 - Part2 幸福の科学への14のギモンを検証する

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3390

映画「ファイナル・ジャッジメント」特設サイト

http://www.the-liberty.com/fj/