人気お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんの母親が受給していたことで、生活保護問題があらためて議論されている。

厚生労働省によると、受給者数は昨年7月以来、8カ月連続で増え続け、不正受給も2010年度には過去最悪の2万5355件に上った。

「不正」に関する報道の目立つ生活保護問題だが、受給者の中には、生活保護から脱却するため仕事を探している人も多い。

こうした動きを受けて、各自治体はさまざまな就労支援に取り組んでいる。

例えば、東京都墨田区は区役所に「就職支援すみだ」を開設し、対象者の年齢を問わず(以前は40歳未満)、常駐のハローワーク職員が求人情報の提供に当たっているという。名古屋市では、2011年6月から民間業者に就労支援を委託。年末までに、支援を受けた人の30.8%が就職したといい、北海道釧路市でも病院や障害者施設の作業補助、公園清掃などの"就労訓練"を提供して就職につなげているという。

民間団体も負けてはいない。

生活保護受給者の数が突出している大阪市西成区(全国平均66人に1人に対し、4人に1人)では、同市の大学生らが自転車レンタル事業「HUBchari(ハブチャリ)」を立ち上げ、元ホームレスや生活保護受給者が、時給800円で自転車の貸出や修理の仕事を行っているという。放置自転車や盗難の減少にもつながるということで、支持団体や利用者も増えているということだ。

富山市では、市民団体「あったか相談村」が料理教室を開くなど、就労後の自立生活を支援する活動に取り組んでいるという。

生活保護制度は、生活困窮者にとって最低限度の生活を守る「セーフティネット」であるが、期間・金額を限らなくてはならない。

過ぎた援助は、人から自助努力の機会を奪い、政府の財政も悪化させるからだ。

本誌2010年7月号記事「民主党政権から日本を守れ(5)」で渡部昇一氏が指摘するように、明治以降の日本の発展は、サミュエル・スマイルズの『セルフ・ヘルプ』の精神を指針として、人々がお上への依存から脱却したことによるものだ。

日本がさらなる繁栄を目指すなら、いま一度、自助努力の精神に立ち返り、「自分ができる新しいこと」を追求し、行動する土壌が必要かも知れない。(清)

【関連記事】

2010年7月号記事 「民主党政権から日本を守れ(5)」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=914

2012年5月25日付本欄 河本さんが母の生活保護で謝罪――甘過ぎる生活保護支給こそ問題

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4329