2012年7月号記事

日本の中国化、中国の日本化
どちらが先か

評論家・日本財団特別顧問
日下公人
Kimindo Kusaka

1930年兵庫県生まれ。東京大学卒業。日本長期信用銀行に入行後、同行取締役、ソフト化経済センター理事長、東京財団会長を経て、現在、社会貢献支援財団会長などを務める。著書は『日本と世界はこうなる』(WAC)など多数。

主人公・鷲尾正悟(上)は、隣の軍事大国「オウラン人民共和国」の侵略の意図を察知。未来維新党を立ち上げ、2009年の衆院選に立候補し、警鐘を鳴らす。

フランスで社会主義の大統領が誕生し、中国では共産党内で権力闘争が始まっている今日、この映画は、日本人に全体主義の恐ろしさを教えてくれます。

映画では日本が侵略された未来を描いていますが、これは十分に起こり得ることです。中国という国は、相手が弱ければ攻めてきますが、強ければ手を出さない。日本がまともな対応さえすれば、攻めてこないのです。

今、日本に必要な対応とは、憲法改正や自衛隊を国の軍隊として位置づけを明確にすること。そして核武装です。 アメリカのパワーが衰えていますが、このまま日本は中国に素手で立ち向かうつもりでしょうか。

また、尖閣事件を見ても分かるように離島の問題も重要です。中国は、南沙諸島の離島の海中に古銭や土器のかけらなどをばらまき、その後、「発見」して、ここはかつて中国だったと主張して、強引に基地を作ってきました。 日本も、今のままでは尖閣諸島だけでなく、沖縄本島まで取られかねません。

特に、離島には人を置くべきです。たとえば、尖閣諸島にも近い沖縄・宮古島の隣にある下地島には3千メートル級の滑走路がありますが、あそこを自衛隊や米軍の訓練地として使えばいい。

戦後の日本は外交でも何でも、いつも「逃げの一手」でやってきましたが、ときにはこちらから仕掛けることも必要です。日本の政治家が中国でハニー・トラップにかけられたら、日本も中国の政治家をトラップにかければいいわけです。

日本の政治家やマスコミは中国の圧力に屈してきましたが、一方、中国ではドラえもんやAKB48など日本文化が流行っています。他にも、日本製のものが大人気ですが、 日本の中国化が先か、中国の日本化が先か。日本の未来が映画のようになるかどうかは、それ次第です。

「日本占領」は、フィクションなのか? (識者によるコメントあり)