東京電力、三菱商事、日本郵船、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が共同で、オーストラリア沖のガス田開発「ウィートストーン液化天然ガス(LNG)プロジェクト」の権益を10%獲得する方向で進めていることを、16日付日本経済新聞が報じた。

日本の原発停止に伴い、LNGは火力発電の燃料として重要性を増している。東電は2009年から上記の交渉を始め、単独で取得することを目指していた。震災の影響で経営難に陥ったため交渉が停滞していたが、海外に権益を奪われかねないため官民3社に参画を要請したという。今回の権益取得で東電のLNG調達量の5分の1にあたる年420万トンを調達できることになる。

また、三井物産がアナダルコなどと共同で調査しているアフリカ南東部のモザンビーク沖の大規模ガス田が、世界最大規模になることがわかった。16日付産経新聞が報じた。

先に9日付朝日新聞は、大手総合商社6社のうち4社が3月期決算で過去最高益を上げたと報じた。「業績を押し上げたのは、各社が収益や配当金をもらう権利を持つ海外の油ガス田や、鉄鉱石、銅などの鉱山の売り上げ増。原油価格は前期比で3割ほど、鉄鉱石は1割ほど高く推移したため、利益が増えた」という。

一部マスコミが脱原発をあおり、火力発電の重要性が高まるなかで、原油やLNGのビジネスを拡大する大手商社の動きは、そうした現実に対応したものと言える。それによって最高益を上げているのも、民間企業として機を見るに敏であると言えよう。

一方、政府は、18日に正式に決めた今夏の電力需給対策でも、原発稼動ゼロが続くことを前提とし、節電の強化を課題に挙げている。政府は西日本の電力供給改善につなげるため、福井県の大飯原発の再稼動に向けて調整を急いでいるが、調整が進まず夏の電力不足や節電が深刻化すれば、企業の経済活動を冷え込ませ、日本経済を沈ませることになる。政府は日本経済の大局を現実的に判断し、原発再稼動を急ぐべきだ。(徳)

【関連記事】

2012年04月22日付本欄 「日本には原子力が必要」 英国専門家

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4151