天然ガスや海底油田が豊富な南シナ海は、中国、フィリピン、ベトナムなどが領有権をめぐって対立しているが、中国が海底油田探索を9日から開始した、と各紙が報じた。

中国が探索するのは香港の東南320キロの海域で、フィリピンと領有権を争っている東沙諸島付近。中国国有石油大手の中国海洋石油総公司(CNOOC)は、中国で初めて自主開発した、水深3000メートルでも作業できる移動式石油掘削施設「海洋石油981」を投入する。

新華社電によると、南シナ海の石油埋蔵量は230億~300億トン、天然ガスは16兆立方メートルと推定。「中国の石油・天然ガス資源の3分の1を占める」ほどの大きさだという。

8日付の人民日報海外版は、「フィリピンに対してわれわれは十分な手段を持っている」「国家の核心的利益に関わる問題では、殴られても殴り返さないほど高尚ではない」と、強力に中国側の権益を主張している。

また7日、米国訪問中の中国の梁光烈国防相は、バーンズ国務長官代理と会談し、「米国側が、中国の核心的利益と関心を持つ問題を尊重することを期待する」と述べた。

なりふり構わぬ中国の領有権拡大と資源奪取に、南シナ海は緊張が高まっている。

今年2月、中国の国父と尊敬される孫文の霊が大川隆法・幸福の科学グループ総裁を通じて次のように霊言を送っている。(『孫文のスピリチュアル・メッセージ』所収)

「今年は、紛争が起こる可能性のある地域が広がっていて、台湾、北朝鮮、中国国内のみならず、西沙諸島や南沙諸島あたり、フィリピンやベトナムの海域までを含めて、武力衝突等が起きる可能性がある。あるいは、そんな所で、海底資源の権益をめぐって、米中の代理戦争が戦わされる可能性がある」

孫文の霊言に呼応するように、4月10日、フィリピン海軍が中国漁船の違法操業を検挙しようとしたところ、中国の監視船が阻止し、以来フィリピンの巡視船と中国の監視船のにらみ合いが続いている。

これに対し4月22日には、フィリピンと米国が南シナ海に面する島で合同軍事演習を行い、中国を牽制。

一方、日本政府は4月28日、フィリピン、マレーシア、ベトナムなどの3カ国に巡視船などを供与する方針を固めた。南シナ海における海上保安機能の強化を支援し、対中国包囲網を固める狙いだ。

南シナ海は日本の海上輸送(シーレーン)の要衝であり、中国とフィリピンの対立は日本にとって対岸の火事ではない。日米と東南アジア諸国が連携し、中国の横暴を防がねばならない。(居)

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