裁判員制度が5月21日で施行から3年経ち、見直し時期を迎え、改善に向けた議論が始まっている。

裁判員が参加する事件は、(1)死刑か無期の懲役、禁錮に当たる事件、(2)法廷合議事件のうち、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪のいずれかに当たる事件。今年1月末までの裁判員経験者は補充裁判員を含めて約2万5千人で、対象事件で起訴された被告は延べ4840人にのぼる。

5日付日経新聞によると、専門知識を要する薬物密輸事件や、被害者が内容を知られたくない性犯罪などについては、裁判員裁判の対象から外したほうがよいという指摘がある。また、裁判員に重い精神的負担を強いる死刑判断は全員一致で決めるべきだとする意見もあるという。

ほかにもさまざまな改善策が提示されているというが、そもそも裁判員制度を存続するかどうかを考えるべきではないか。

制度が始まる直前の2009年5月、大川隆法・幸福の科学総裁は、次のように述べている。「『素人を入れて、プロと一緒に判断させる』というのは大変なことです」「量刑にまで一般人を巻き込むのでしたら、裁判官の報酬を半額にしていただきたいものです」「(裁判員制度ではなく)システムを改善して、『いかに早く処理するか』という点で、"企業努力"をしなければ駄目だと思います」(『政治の理想について』所収)

裁判員制度は「市民目線の導入」という理由で始まったが、実施後に下された量刑は求刑の約8割で、裁判官のみによる判決時と大差はないという。結局は、プロが負うべき責任を素人の市民に押し付けているだけだ。裁判員は平均4.6日で被告人の人生を大きく左右する判決を下している。死刑判決に関わろうものなら、その後大きな苦悩を負うこともあるだろう。

プロの裁判官は、判決を下すために存在するのであり、そこに至るまでの苦悩やその後に負う責任までが職務範囲である。「市民目線」は各人の努力で学べばいいだけであり、"企業努力"して自身の仕事を早めればいい。裁判官の責任放棄に過ぎない裁判員制度は、改善ではなく廃止すべきだろう。(居)

【参考書籍】

幸福の科学出版ホームページ 『政治の理想について』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=112

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2012年2月14日付本欄  【新聞読み比べ】最高裁が「裁判員の判決を尊重」――ならばプロ裁判官はクビにせよ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3815