がんや脊髄損傷、アルツハイマー病などに「効く」効果ありとして、患者の脂肪や骨髄から分離した幹細胞を点滴注射する治療法が、日本でも民間クリニックで広まっているそうだ。
しかし、12日付の英科学誌ネイチャーは、中国で広がる幹細胞治療は「効果が期待できず、深刻な副作用の恐れがある」として警鐘を鳴らしている。
同誌では、胎児のへその緒などから採取した幹細胞を注射する治療を行うクリニックが中国で広がっているとの報告が掲載された。アルツハイマー病や自閉症の症状が改善したと大きく宣伝し、海外からの医療ツーリズムを呼び込む目的もあるとのこと。
だが、新型治療法が単なるビジネスモデルとしてのみ扱われた場合、粗悪な培養操作で汚染された細胞を注射されたり、注射した幹細胞が肺の動脈などに詰まって重い副作用を引き起こす恐れもあるという。
幹細胞とは、幾種類かの組織細胞のもとにあたる細胞で、そこから分化して骨や血管、筋肉などになる変化する能力を持っている細胞のこと。万能細胞と呼ばれるiPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞に比べれば、様々な細胞になる能力は劣るのだが、患者から簡単に直接採取でき、培養もそれほど難しくないという利点がある。
そんな「手軽さ」もあって、がんや脊髄損傷、リウマチ、糖尿病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった難病や障害に「効果が期待できる」と称して施術する医療機関が拡大している。しかしながら、臨床試験などによって効果を確認した病気は限られており、安全性も研究段階にある。
いまだ実験治療の範疇にあるため、当然のごとく保険適用はされず、患者が全額を自己負担する自由診療の中で実施される。ゆえにその費用は、数百万円にも及ぶ場合もあるとのこと。
このため日本の厚労省は、「患者に使う場合は大学などの研究機関にある倫理委員会と国の二重審査を受けた後に、厳しい安全管理の下で行うよう」との指針を出している。
人体の再生術について大川隆法幸福の科学グループ創始者兼総裁は、著書『超・絶対健康法』で、次のように述べている。
「精子と卵子が合体して、そのちっちゃなものがこれだけの大きな体になって完成した姿になるという設計図を体が持っているのならば、(略)もし人生の途上で何らかのけがや病気で使えなくなったとしても、その力を素直に働かすことができたら再生してくる力も人体は持っているはずなんです。(略)これが治らない理由は、受けている教育が唯物論的な教育を受けているし、信じていない。そもそも信じていないために治らないんですよね」
唯物論に立脚する科学技術だけでは、得られる成果に限界がある。再生術が本当に人類に福音を与えるようになるには、最新の科学技術と霊的生命観の融合がキーになるだろう。
真なる信仰のもとに科学と宗教が融合する未来社会においてのみ、未来型治療法としての再生医療が力を発揮できるのではないだろうか。(寺)
【関連書籍】
幸福の科学出版ホームページ 『超・絶対健康法』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=119
【関連記事】
2010年10月号記事 人体再生神話に挑む
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=55
2004年9月号記事 「移植」に代わる先端医療を追う――人工臓器と再生医療