「一家揃って写真を撮り、食事がしたい。まるで手の届かない望みだけど」。
今月1日、中国陝西省安康市の病院で、24歳の女性が肝臓がんで孤独な死を遂げ、中国社会に波紋を投げかけている。7日付産経新聞が伝えている。
冒頭の一行は、女性が入院中にしばしば投稿していた短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」に、死を間際にして書き込んだもの。両親は幼少時に離婚。母親は、入院費を払えないと告げて姿を消した。結婚を誓い合った恋人は、余命2カ月と診断された彼女の入院後、1千元(約1万3千円)を残し連絡が途絶えた。彼女の書き込みは多くの中国人に衝撃を与え、今の中国における家族関係の希薄化や道徳意識の欠如について反省を促しているという。
だが、高齢化と少子化が急速に同時進行する日本では、すでに独居老人などの孤独死が社会問題化している。野田民主党政権は、年金を中心とする社会保障の財源確保のためとして消費税増税を進めようとしているが、実は国家による老齢年金は、子供が愛情に基づき年老いた親の面倒を見るという家族の結びつきを弱める。経済学者フリードマンは著書『選択の自由』で、国家の強制による老齢年金制度について、「家族の絆を弱めてきた」と指摘している。年金がもらえても親子の結びつきが弱まれば、孤独な高齢者が増えるだけだ。
また、日本では1998年から14年連続で年間自殺者数が3万人超を数えているが、その前年には消費税が3%から5%に引き上げられている。増税と不況による生活苦や借金苦が、自殺者増の大きな原因であることは明らかだ。逆進性が強い(=所得の低い人ほど負担が大きい)消費税を現在の5%から倍の10%に引き上げれば、生活困窮による自殺者は一層増えるだろう。
民主党政権の政策により、家族の結びつきの美風が弱まる一方で生活苦が増え、高齢者などの孤独死や自殺が、ニュース報道すらされない日常的な出来事になるおそれもある。やはり、消費税増税を許してはならない。(憲)
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