26日、インドの首都ニューデリーで行われた中国政府への抗議活動で、26歳の亡命チベット人男性が焼身自殺を図り、重体となった。

抗議活動は、今月29日にニューデリーで開かれるインドやロシアなどとの首脳会議に、中国の胡錦涛・国家主席が出席する前のタイミングで行われた。男性は体に火をつけ、叫び声を挙げながら、道路を約100メートル走り抜けたという。

この一年間で約30人のチベット人が、焼身自殺による中国政府への抗議活動を行っている。

しかし、中国政府は、こうした活動を「テロ行為」とみなし、映像や写真が流出しないようにネット上でも検閲を行っている。今回はインドでの抗議のため明るみになったが、私たちが見聞きするニュースは、そうした抗議活動のほんの一握りということだろう。

チベット出身のペマ・ギャルポ氏は、チベット人の現状についてこう語る。「現在もチベットの人々は、昼は公安警察、夜は武装警察に四六時中監視され、5人以上集まると『集会』とみなされ、当局の裁量で逮捕される。多くの人を集めてデモ活動をすることが難しい状況の中で、この現状を国際社会に訴えなければいけないと切羽詰まった人々が、ガソリンをかぶって焼身自殺を図っている」

こうした状況は、尖閣諸島や沖縄を「自国の領土」と主張する中国の脅威にさらされている日本人にとっても他人事ではない。前出のペマ氏も「日本はこのままでは本当に『第二のチベット』『中国の一自治区』になる」と警鐘を鳴らす。

チベットやウイグルでは、失った自由を取り戻すために、多くの人が命を落としているが、私たち日本人はこれを単なる対岸の火事としてはいけない。(光)

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