中国のレアアース(希土類)輸出制限に関して、日米欧が一体となって、WTO(世界貿易機構)に中国を提訴するという動きが出てきた。

WTOは1995年1月1日に、関税貿易一般協定(GATT)に代わってできた、多角的貿易体制に唯一の法的および制度的な基盤を提供する国際貿易を監督する世界機関だ。

すでに今年1月、レアメタル(希少金属)の輸出制限についても中国は、WTOで敗訴となっている。こちらは米国と欧州連合(EU)、メキシコが提訴していた。

今回は、ずっと中国に対して及び腰だった日本が加わったことで、日米欧のトライアングルによって、中国の理不尽な対外政策に対しての「中国包囲網」を築いた構図になる。

そもそも中国は国連の安全保障理事会の中で、特権としての拒否権を持つ常任理事国(米、英、仏、露、中)の一つである。中国はその特権をしばしば「自国に有利なように政治利用」してきた。

常任理事国として「大国」に列せられているならば、本来なら安全保障分野のみならず世界全体に貢献する姿勢、他国の利益に配慮する姿勢が求められているはずだ。でなければ、単に特権を与えるだけでは、世界の脅威となるだけだ。

いま中国の置かれている立場を冷静に判断すれば、中国は誠意を持ってWTOの場で、国際社会に受け入れられるルールに従うべきだろう。(富)

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