アメリカの人気女性歌手レディー・ガガさんは2日、米マサチューセッツ州のハーバード大学のイベントで、いじめなどに悩む若者を励ますための財団の設立を明らかにした。

財団の名前は、自分のヒット曲にちなんで、「ボーン・ディス・ウェイ(これが生まれながらの私)」としたが、この財団が基礎とする人間観は、「若者に自信を持たせ、思いやりと勇気の精神で人をありのままに受け入れ、自己啓発していく新しい文化の創造」という。

興味深いのは、この人間観と似た表現が、ノーベル経済学賞受賞の経済学者、哲学者のF・A・ハイエク著『隷属への道』に見られる点だ。

「個人主義とは、『人間としての個人』への尊敬を意味しており、それは、一人ひとりの考え方や嗜好を、たとえ、それが狭い範囲のものであるにせよ、その個人の領域においては至高のものと認める立場である。それはまた、人はそれぞれに与えられた天性や性向を発展させることが望ましいとする信念でもある」

ここで言う個人主義とは、全体主義などに対峙するものとして述べられているが、同著では、全体主義国家においては「個人の尊厳は、単に人間であることではなく、ひとえに集団の構成員であることにかかっている」とある。

こうして比べると、レディー・ガガさんの財団が取り組む「いじめ問題」と「全体主義的な社会」との共通点が見えてくる。

人は、根本的な人間観に「個人の尊厳」が欠けている場合、異質な存在や都合の悪い存在に対して残虐な態度を示し、社会の構成員はあくまで構成員としてしか尊重されない。そこにヒトラーのような非道徳的な指導者が台頭すると、ユダヤ人虐殺のような悲劇が起きる。

国家レベルの問題も、いじめ問題も、結局は、人間観による。いじめ問題解決も、自由と民主主義の実現も、あるべき人間観、仏法真理の裏づけや浸透なくしてありえない。(光)

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