新華社通信は28日夜、中国の新僵ウイグル自治区カシュガル付近で騒動があり、12人が死亡したと報じた。ナイフで武装した集団が市場で10人を殺傷、警察がその場で武装集団の2人を射殺した。騒動の原因は不明である。
この騒動は「東トルキスタン独立運動」の一部だと思われるが、中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は29日の定例会見で「暴力集団が多くの中国人警察官を殺害した。我々はテロリストと分裂主義者による自治区の平和と発展を破壊する行為に反対する」と述べた。
ウイグル人は1933年に「東トルキスタンイスラム共和国」建国を宣言したが、その後国内の混乱に乗じて分断工作を受け、最終的に中華人民共和国の自治区に編入された。
その後、ウイグルでは独立運動リーダーや宗教指導者、知識人が、あらぬ理由で逮捕・処刑、行方不明になり、全体で160万人以上が殺されたと言われる。また、自治区内に建てられた核施設では46回もの核実験が行われ、19万人が亡くなり、今でも129万人が健康被害で苦しんでいるとされる。
中国は漢民族が支配している。危険な核実験は漢民族以外の住む自治区で行い、漢民族以外の人々がいくら死んでも意に介さないのだ。ウイグルや内モンゴル、チベットなど、自民族のアイデンティティと宗教、思想、言論を抑圧される苦痛は計り知れない。
日本ではマスコミがウイグルなど中国自治区での事件について報じることはほとんどなく、中国がいかに非道なことをやっているかをきちんと報じようとしない。
だが、隣国である中国が、近代以降どのような侵略行為、圧政や虐殺を重ねてきたかを、われわれ日本国民はもっと知るべきだ。せめて自国の安全保障を考える上でも、中国の実態を認識しておくべきだろう。(光)
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