アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は、事実上の「インフレ目標」の設定に踏み切った。長期的な物価上昇率の目標を「2%」とすることを1月25日、バーナンキFRB議長が表明した。FRBは物価上昇率が2%になるまで金融緩和を続ける。

これに対して、日銀は06年3月、中長期的に望ましい物価上昇率の水準を公表し、現在は「2%以下のプラスで、中心は1%程度」を表明している。そのため、日銀の白川総裁は、「むしろFRBが日銀の政策に近づいてきた」と"先駆者"であるかのように説明している。

10日付朝日新聞が日本とアメリカの中央銀行の金融政策の違いについて分析しているが、「日銀内には、無理に高い物価上昇率を目指して金融緩和をし過ぎれば、インフレが止まらなくなるという懸念が根強い」と、日銀寄りのスタンスだ。

07年のリーマンショック後、FRBはそれまでの約3倍の通貨を発行し、大胆な量的緩和を行った。これに対し日銀が増やしたのは0.1倍にすぎない。

これを見れば、日銀は「1%程度の物価上昇」をうたいつつ、単なる掛け声だけで、そのための手段を講じていないということになる。その間、FRBはやれるだけのことをすべてやっていると言っていい。

このまま掛け声だけで、ほとんど何も動かず、日本の経済を沈没させる日銀は、一体何を考えているのか。(織)

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