韓国の李明博大統領が18日、野田佳彦首相との首脳会談で、いわゆる「従軍慰安婦」問題について解決を求めた。17日の非公式会談の前の在日韓国人との懇談会では、「この問題を解決しないならば、日本は永遠に両国間にある懸案を解決できないという負い目を持つことになるだろう」と語った。

李大統領がこの問題に言及したのは、今年8月、憲法裁判所が「賠償請求問題解決に努力していない韓国政府は元慰安婦の人権を侵している」との判断を示したためとされる。今月14日にはソウルの日本大使館前に元慰安婦をモチーフにした少女像が建てられた。

李大統領は日韓間の歴史問題には極力触れてこなかったが、任期約1年を残して言及するようになったのは、李大統領の「改革」路線に批判が高まっていることと関係している。

李政権は、小泉政権が採った路線に近いと見ていいだろう。サムスン電子や現代自動車など大企業の輸出促進策が採られ、韓国経済は好調だったが、EUやアメリカの景気後退で陰りが出た。それに伴い、小泉政権後に日本で起こったような「格差」批判が巻き起こっている。

与野党ともに、公立学校の授業料半額支援や給食無償化など、日本の「高校無償化」とか「子ども手当」に近い提案が相次いでいる。

来年12月の韓国大統領選挙は、与党・ハンナラ党の朴槿恵(クンヘ)元代表、無所属だが野党連合に待望論が強い元IT企業家でソウル大教授の安哲秀(アンチョルス)氏の一騎打ちとなる可能性が高い。

「格差」批判は日に日に勢いを増しているので、日本の同様に民主党政権のような「左傾化」した政権ができると予想せざるを得ない。

となれば、韓国の次期政権は、鳩山・菅政権のようにアメリカから距離を置くことだろう。

「慰安婦」問題の再燃は、その予兆と言っていい。(織)

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