最近の報道によると、中国のバブル崩壊を象徴する出来事が次々と表面化している。
まず、製造業が失速している。1日発表された製造業購買担当者景況指数が49.0と、2年9カ月ぶりに景況判断の分かれ目となる「50」を割り込んだ。
特に中国の輸出の4分の1を占める広東省は深刻だ。同省に工場を抱える約2万社の香港企業が経営危機に陥っている。工業団地が丸ごとゴーストタウン化するケースも出始めた。
中国の製造業は、人海戦術で安価に製品を造っていたのが、人件費が上がるなどで前提条件が崩れたところに、最大の輸出先だった欧州の信用不安が追い打ちをかけた。(2日付産経新聞)
また、家電業界も強い逆風が吹いている。2008年のリーマンショック後の国内消費を支えた政府の購入補助金が一部地域で11月末に打ち切られ、大手メーカーは減産に入った。
新車販売台数も10月は5カ月ぶりのマイナスとなった。(3日付日経新聞)
住宅価格の急落も深刻だ。高値で住宅を購入した中間所得層が、購入から2カ月後に住宅価値が20%も下落。中国の中間所得層は2億4320万人いるが、不動産価格が一段と下落すれば、さらにデモなどが拡大し、深刻な政治危機が起こると予測される。
さらに地価下落は、歳入の3分の1を不動産による収入に頼っている地方政府にも影響を及ぼすと見られている。(3日付フジサンケイビジネスアイ)
すでに中国の「バブル崩壊」は、あちこちで始まっている。「大金持ちの村」や、不動産投資だけで億万長者になった人たちも、日本のバブルの比ではない、中身スカスカの張り子の虎であったことを知ることになるだろう。
そのあとに来るものは何か。中国は今、分かれ道に立っている。(仁)
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11月10日付本欄 中国の不動産バブル「世界史上最大の崩壊劇」の幕開け
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3250
2011年12月号記事
2012年世界はこうなる 国際政治編(2)