2012年1月号記事
野田佳彦首相は11月13日(日本時間14日)、米ハワイで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議で、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に参加する方針を表明。日本の動きが呼び水となったか、カナダとメキシコも相次いで参加を表明した。
一方、これまでにTPP交渉を進めてきた米豪など9カ国は、これに先立つ12日に同協定を大枠で合意。今後の交渉では、関税撤廃の例外品目などについて各国の利害調整が行われ、2012年内の決着を目指す。
日本国内では、いまだに「交渉参加を前提とするものではないと理解している」(鹿野道彦農水相)、「拙速だ。国民の不安を増幅させている」(谷垣禎一自民党総裁)などの反対論も根強い。また、推進派からは、「バスに乗り遅れるな」式の声も聞かれる。
しかし、今回のTPP参加をめぐって、日本人が持つべき精神的態度は、悲観論にまみれた後ろ向きのものでも、頭を下げて参加させてもらうような悲壮感漂うものでもない。TPP参加によって大国としての責任を果たすべき時が来たと前向きに考える必要がある。