東京圏は人口約3500万人の世界最大の都市圏だ。第2位の米ニューヨーク圏の約1900万人のほぼ倍の規模を誇る。それを支えているのが鉄道ネットワークである。
日本に住んでいると当たり前だが、JRその他の私鉄、地下鉄が相互に乗り入れ、鉄道に乗ればその都市圏のどこでも1時間程度で移動できるという交通網を築いているのは、日本だけだという。
その世界一の鉄道ネットワークが、さらに便利になる構想が具体的に動き出した。
東急電鉄の蒲田駅と京浜急行の蒲田駅をつなぐ新路線だ。東急電鉄はこのほど、敷設に向け、地元との協議に入った。
両駅はたった約800メートルの距離だが、この路線が開通すれば、東急電鉄の渋谷駅や目黒駅発の羽田空港行きや、これまで品川駅経由で羽田に向かっていた田園都市線からの羽田行きが実現するかもしれないという(現時点では京急蒲田駅での乗り換え方式が有力だが)。
東急電鉄は2012年に、東京メトロ・副都心線(和光市~渋谷間)との乗り入れを予定しており、埼玉県民が羽田空港への直通電車を利用できる可能性も出ている。
東京圏の鉄道ネットワークはさらに進化し、人口集積が進んでいくと予想される。それを「一極集中」と否定的に捉えるべきではない。人口集積自体が、新しいビジネスや文化を創造し、魅力的な都市をつくるからだ。むしろ政府として、この鉄道ネットワークの充実に投資をすべきだろう。(織)
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