この政府・政権は、財政問題に関して必ず「逆判断」をするように心がけているのだろうか。

来年度予算案で、基礎年金の国庫負担分のうち2.5兆円を賄うために、「年金債」(仮称)を発行する方向で調整しているという。日経新聞などが21日報じた。

2015年までに消費税を10%に増税し、そこから返済に充てることを想定している。

「年金債」と言っても耳慣れないが、事実上財政破綻したギリシャや、その寸前のイタリアなどは、実質的にこの「年金債」で財政危機を深刻化させた。つまり、公的年金・医療に充てる資金を他国からの借金に頼っていたため、今回のユーロ危機を招いた。

アメリカの地方自治体も、この「年金債」を発行している。例えば、オバマ大統領の地元のイリノイ州は、年金給付金の支払いのメドが2011年以降つかなかったため、年金債を発行した。さらに資産売却を進めるなどして資金調達に努めているが、この年金債に買い手がつかなくなったら、財政破綻してしまう。

結局のところ、借金をして年金など社会保障にお金を回すというのは、それこそ、将来世代に重いツケを回すことになる。

東日本大震災の復興のためや、防災インフラを全国に整備するために国債を発行するならば、将来、経済成長となって将来世代に富を生む。しかし民主党政権は、復興費を増税で賄い、年金給付に対して国債を発行するという、頓珍漢な対応をしている。

この政権の財政オンチ、経済オンチぶりが極まったのではないか。(織)

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2011年11月9日付本欄 消費税増税の使途を語らぬ野田政権

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2011年10月25日付本欄 「年金は国民収奪シナリオ」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3124