米ウォールストリート紙が10日、アメリカがオーストラリアに新たに米軍拠点を設置すると報じている。オバマ大統領が来週、訪豪するのに合わせて協定を結ぶという。

米軍基地ではないが、米軍部隊や艦船が拠点施設を利用することができるようになり、南シナ海やマラッカ海峡、インド洋などでの航行の自由を守る米軍としての意思を表すことになる。

クリントン米国務長官はこのほど、米外交誌「フォーリンポリシー」に「アメリカの太平洋の世紀」という論文を寄稿。この中で、「オーストラリアの駐留米軍の拡大」を進めることを強調していた。

一方で、中国に近い日本から米軍のプレゼンスを後退させる意味合いも含む。

オーストラリア政府は自国内の軍事基地や港を米軍に移譲する計画を検討している。

アメリカ側でも、米海軍大学のジェームス・ホームズ教授らが在日米軍基地のオーストラリア移転を提唱する論文を今年6月に発表。同教授は、「中国と戦争になった場合は在日米軍基地は中国の中距離弾道ミサイルの射程内に入るとして、オーストラリア西海岸に移転すべきだ」と書いている。

アメリカは財政危機のため米軍予算を毎年10兆円規模で削減しようとしている。その中での米軍拠点のオーストラリア新設は、日本からの米軍の後退・撤退にもつながりかねない動きだ。

米軍基地を日本から追い出したい勢力にとっては朗報なのだろうか。(織)

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