長崎海上保安部は6日、長崎県・五島列島付近の領海内で停船命令に従わずに逃走したとして、中国漁船「浙岱漁(せったいりょう)04188」(135トン)の船長、張天雄容疑者(47歳、中国福建省)を漁業法違反(立ち入り検査忌避)の疑いで現行犯逮捕した。
同日午前10時半ごろ、五島列島の鳥島の北北西約4キロの領海内で、2隻の中国漁船が航行しているのを、長崎海上保安部の巡視船が発見。停船を命じたが、2隻は逃走。約4時間後に、巡視船はそのうちの1隻を停船させ、船長を逮捕。残りの中国人乗組員10人も長崎港に移送して事情を聴くという。
日本近海に出没する中国漁船は中国軍の影響下にあるとも言われているが、中国問題の専門家は、現在、胡錦濤も次期指導者の習近平も、軍を掌握できていないと指摘する。そうした中で、中国国内がバブル崩壊などで混乱に陥れば、中国政府は国内の不満を日本に向けさせるが、中国軍の暴走にも歯止めがかけられないだろうと語る。いずれにしても、日本に危機が迫るということだ。
いたずらに不安を煽るのは避けたいが、どの国の政府も自国の利益、もっと言えば、自分の政権の利益のためには、あらゆる手段を使うという前提を忘れてはいけない。
昨年9 月には、沖縄・尖閣諸島付近で、中国漁船が巡視船に体当たりした尖閣事件が発生。中国との摩擦を嫌った当時の菅直人政権が、その後船長を釈放したが、今後、野田政権がこの船長らの身柄をどのように扱うかに注目が集まる。(格)
【参考記事】
2011年12月号記事
2012年世界はこうなる 第1部-国際政治編(2) 宮崎正弘氏・鈴木壮治氏