21世紀の無税国家論

21世紀の無税国家論

2006年1月号記事

 

よ~く考えよう♪

ムダ遣いなのに「増税」って本気? 21世紀の無税国家論

 

借金が800兆円に迫り、「国家破産」も絵空事ではない日本の財政赤字──。小泉首相は見事、郵政民営化を成し遂げ、一気に「小さな政府」への改革を加速させようとしているが、一部では消費税率アップやサラリーマン増税が論議されている。しかし、本当に増税は避けられないのか。経営の神様・松下幸之助氏は生前、政府が「資金のダム」をつくることで21世紀中に税金をゼロにする「無税国家論」を唱えたが、今こそ、真剣に無税国家実現を考えてみるべき時ではないか。折りしも天上界の松下幸之助霊から「新提言」が降ろされた──。改革を推し進め、財政赤字の克服とともに、空前の繁栄を実現するために無税国家への道を考えてみたい。

 


 

PART1

こんなムダ遣い許される!?

 

高まる増税論議の一方で、政府や関係機関による膨大なムダ遣いが行われている。ムダ遣い体質を放置したままの増税とは、本気なのだろうか。

 

 

「官営」保養施設に蒸気機関車!?

774兆円にのぼる借金に政府・与党の一部は「増税やむなし」とばかりに、消費税率引き上げなど次々とカードを切っている。仮に主だったものだけでも実行したら合計30兆円程度の大増税。国の毎年の赤字をほぼ穴埋めできるが、国民生活には破壊的な影響が及ぶ。

一方で、小泉純一郎首相は増税よりも歳出削減を優先する考えを強調。竹中平蔵総務相も「一部の税関係者が増税、増税と言っているが、形を変えた抵抗勢力だ」と、公務員人件費や自治体補助金に切り込む構えだ。

現に巨額の借金は、国や自治体が信じられないようなムダ遣いをしてきた結果でもある。

例えば、サラリーマンや自営業者の年金3800億円が全国13カ所の大規模保養施設「グリーンピア」に注ぎ込まれたが、大半が赤字で閉鎖され、建設費の数%の値段で自治体などに売却された。いずれも100万坪の広大な土地にホテルやスポーツ施設を備え、中には敷地内を蒸気機関車が走ったり、大観覧車がそびえ立っているところまであった。

年金といっても、老後の自分のために積み立てるのではなく、現在の高齢者のために支払われているから実体は税金。これだけ国民に損害を与えても、責任を取った関係者は皆無だ。

 

 

150億円の土地を30億円で叩き売り

都心の一等地に国が抱える官舎や土地もムダ遣いの象徴だ。周辺相場の4分の1程度の格安家賃で国家公務員が住んでいたり、遊休地になっていたりする。これら資産を売却する際には“叩き売り”まで出る始末。

例えば、今年、国から港区に売却された東京・白金台の公務員住宅跡地。目黒通り沿いの超一等地で、「競売にかければ少なくとも150億円」(地元不動産業者)とされたが、価格はわずか約30億円。超一等地を官舎として使っていたこと自体驚きだが、民間に売れば国庫に入るはずの百数十億円をふいにした判断も信じがたい。

国のムダは数百億、数千億円どころか、「東京オリンピック以降、国が使った3000兆円のうち、3割の1000兆円がムダ」と評論家の日下公人氏はバッサリ(注1)。結局、経営感覚やコスト意識に欠けるために、安直に収入を見積もり、入ってきたお金を湯水のごとく使ったり、正当に得られる収入も逃したりしているのだ。

(注1)『「質の経済」が始まった』(PHP研究所)。

 

 

検討されている主な増税のメニュー

●消費税率アップ(10~15%)を2007年に決定

→15%で25兆円の増税

●所得税・住民税の定率減税(最大年29万円)を全廃

→国民全体で3兆3000億円の増税(年収700万円、専業主婦の妻と子供2人のサラリーマン世帯で年8万2000円の負担増)

●サラリーマンの所得税の各種控除を縮小・廃止

→国民全体で数兆円の増税

 


 

検証グラビア

こんなムダ遣い許される!?

 

赤字毎年10数億円の「私のしごと館」

サラリーマンの雇用保険料約581億円をかけ、若者の職業選択支援を目的に2003年、京都府木津町にオープン。毎年の赤字15~19億円も雇用保険料で穴埋めされる。館内では宇宙飛行士やニュースキャスターなどさまざまな職業を疑似体験できるというが、館内が閑散とした日も多い。

 

 

455億円をかけ、売却された旧「スパウザ小田原」

サラリーマンの雇用保険料455億円をかけて1998年に神奈川県小田原市に建設されたリゾートホテル。天然温泉のスパ、ボウリング場も備える。6年後に廃業し、小田原市に8億5000万円で売却。現在はヒルトンホテルが運営している。

 

 

年金3800億円が注ぎ込まれた「グリーンピア」

旧「グリーンピア二本松」(福島県)は建設費81億円をかけたが、赤字経営で閉鎖。二本松市に3億1155万円で売却され、現在、同市の関連団体が運営している。敷地内を走る蒸気機関車は冬は運休中。

 

 

東京中心部にある格安の官舎や土地

東京・南青山の公務員宿舎は90平方メートルで家賃が7万6千円。周辺の民間マンションの相場は約40万円だという。官舎に使っていた東京・白金台の土地は市価の4分の1で売却。

東京・赤羽の公務員宿舎は65~80平方メートル、家賃が3万5000~6万4000円で、相場の4分の1。

 

財政赤字の原因は、言うまでもなく毎年、莫大な赤字が計上されていること。最新の2005年度の一般会計で見てみると、収入(税収)が44兆円しかないのに、82兆円も使っている。この収支のギャップを埋めるために34兆円もの借金(国債などの発行)をしているわけだが、借金の返済額(国債費)はわずか18兆円。これでは、いつまで経っても借金が減るわけがない。一種のサラ金地獄に陥っているのだ。

 

2005年度の政府の借金は773・5兆円である(国と地方の長期債務残高)。これは、瀬戸大橋を300本かけ、東北新幹線を100本開通させ、さらに全国民に100万円ずつばらまいても、お釣りのくる数字だ。もちろん、世界的にも歴史的にも最悪レベルである。しかも10年前の約2倍、15年前の約3倍と、恐ろしい勢いで増えており、一向に減る気配はない。

 


 

PART2

天上界より降ろされた松下幸之助 霊の無税国家論・新提言

 

国の膨大なムダを解決しないまま、安易に増税に頼るならば、国民の勤労意欲はしぼみ、日本は間違いなく衰退へと向かう──。松下幸之助氏は生前、「無税国家論」を提唱したが、この日本の現状に天上界の松下幸之助霊は危機感を募らせ、このたび新たな提言が降ろされた。この提言をもとに、無税国家への道筋を検証してみよう。

私の考えはとてもシンプルなものです。収入・収支バランスとストックの重視です。現在の単年度予算で、その年に入っただけ使い切り、貯金できない制度は、放蕩息子養成システムそのもので、どんな商売でも三代目でつぶれます。まず、この制度を改め、国家経営を民間経営と同じシステムにします。首相には、社長と同じ経営責任をとらせます。私が日本国首相で任期10年与えられたら、次のことをやります。

 

  • 1.国家財産をすべて洗い出して時価で評価し、売却できるものはすべて民間会社、個人に売却します。売却できない性質のもの、もしくは、売却すべきでないものは、国家の基本財産とし、この時価評価総額を元手にして、一株10万円の日本国家株式会社の株を国民に対して売り出します。国民は日本国の時価評価が上がればもうかるシステムにし、株の売買も可能にします。国が発展すると国民はもうかるため、補助金を引き出すスタイルから、国家の黒字発展を望むようになります
  • 2.収入の範囲内で生活するという原則で国家経営をやります。税収と各種土地・建物の売却益で支出をまかなうようにします。赤字たれ流しの自覚を持つこと。均衡経営を目指すことが大事です。
  • 3.国土のインフラ整備のための建設国債は借金とは考えません。これは国民のための財産形成をしているので、次世代にも財産として残せるものです。原野・山林が開発によって資産価値が向上したら、もうかったと考えるべきです。
  • 4.警察関係予算は、目的税として、国民生活安全保障税として別税化します。税金をたくさん払った人を警察は手厚く警備します
  • 5.防衛庁予算も、目的税として、国民生命安全保障税として別税化します。この税金をたくさん払った人には、災害時には自衛隊が急行して救出します。また外国の軍隊に攻められた時、海外で犯罪に巻き込まれた時、手厚く生命の安全を守ることを約束します。
  • 6.医療予算を削減するためには、大企業にできるだけ多くの病院経営を引き受けてもらいます。大企業による病院のM&Aを促進し、経営指導をさせ、かつ、従業員や取引先の人々の医療費を安く(値下げ)させるよう努力させます。たとえばトヨタ病院が日本に100あるだけでもかなり違うでしょう。病院の赤字は企業との連結決算で節税効果を出させるとよいでしょう。
  • 7.公務員の半分を民間企業からの出向者とします。そして業務の簡略化スピード化サービス・アップに努力させます。お役所の意識改革も進むはずです。仕事の削減とスピードアップに成功した民間人は早く元の会社に戻れるようにし、安月給の期間が短くてすむようにします。
  • 8.同時に、役所の次官、局長クラスを民間会社の社長、重役からスカウトします。これでかなり成果が上がるでしょう。
 (松下幸之助霊示※ 2005年10月28日午前10時)
※人間は、死後も個性を持った霊として存在し、あの世で生活を続けるが、中でも認識力の高い高級霊と呼ばれる人々は、人類の進歩と発展のために、霊言などの形で地上にメッセージを送ってくることがある。松下氏は、死後、「梵天界」と呼ばれる高次元世界に還り、文字通り「経営の神様」となっている。

 


 

単年度予算制度は「放蕩息子養成システム」

「私の考えはとてもシンプルなものです。収入・収支バランスとストックの重視です。現在の単年度予算で、その年に入っただけ使い切り、貯金できない制度は、放蕩息子養成システムそのもので、どんな商売でも三代目でつぶれます。まず、この制度を改め、国家経営を民間経営と同じシステムにします。首相には、社長と同じ経営責任をとらせます。私が日本国首相で任期10年与えられたら、次のことをやります。」

 

今回の天上界からのメッセージは、〝経営の神様〟松下幸之助が、企業経営者の視点で現在の国家経営を見るとどうなるか──を示したものだ。

松下霊はまず、そもそも財政赤字がここまで膨らんでしまった根本的な原因を、「単年度予算制度(貯金できない制度)」にあると喝破する(注2)。

民間企業なら、いかにコストを落として利益を出すかに知恵を絞るが、国はいかに予算を使い切るかに頭を使う。使わないと、翌年から予算を減らされてしまうからだ。そのため、年度末になると、各地で膨大な工事を行って予算を消化することになる(最近はやや計画的にムダな工事が行われているようだが)。

その背景にあるのは、「予算が余る↓税金の取りすぎ↓そう批判されないためには使い切る」という発想だ。親(国民)の財布に依存して、あるだけ使ってしまう〝放蕩息子〟は、こうして生まれる。そこには「利益」や「倒産」という概念はない。

この放蕩息子を立ち直らせるには、結局、親離れさせて外に働きに出すしかない。つまり、独立採算にして、自分で稼ぎ、黒字にならなければ責任を取るという、民間では当たり前の経営システムにするのだ。

(注2)予算は、毎会計年度ごとに国会の議決を行わなければならず(憲法86条)、各会計年度の経費は、その年度の歳入をもって支払わなければならない(財政法12条)と法律で定められている。

 

 

国有財産を売却し日本国家㈱の株を売り出す

「1.国家財産をすべて洗い出して時価で評価し、売却できるものはすべて民間会社、個人に売却します。売却できない性質のもの、もしくは、売却すべきでないものは、国家の基本財産とし、この時価評価総額を元手にして、一株10万円の日本国家株式会社の株を国民に対して売り出します。国民は日本国の時価評価が上がればもうかるシステムにし、株の売買も可能にします。国が発展すると国民はもうかるため、補助金を引き出すスタイルから、国家の黒字発展を望むようになります。」

 

 

国有財産は最低でも102兆円

赤字解消の具体論を見ていこう。まずは、国有財産の売却による益出しだ(民間企業でも資産売却による益出しは事業再生の基本中の基本)。

2004年3月末段階での土地や建物などの国有財産の現在額は102兆円(注3)。

そのうち、国土面積の24%を占めている国有地は、総額31兆円。江戸時代でも幕府の直轄地は13%程度(石高ベース)だったことを考えるといかにも多い。今の日本は封建時代よりも「大きな政府」というわけだ。

また、庁舎等の現在額は総額で11・8兆円、国立学校等が9・7兆円(前ページ図)。ちなみに東大は1・3兆円だ。しかも、これらの数字は市場価格の数分の1から数十分の1程度。実際に売れば莫大な金額になる。

さらに、公団や公庫、独立行政法人などへの出資金は43兆円。この中にはNTTやJTなどの保有株も含まれる。これまで旧電電公社などの民営化で国が得た収入は過去30年間で累計31兆円に上ることを考えると、道路公団や郵政事業も、民営化で株式を売却すれば、相当な収入が見込める。

経済財政諮問会議の奥田碩議員が主張するように、ハローワークや社会保険庁なども、民間開放の対象になるだろう。

また、国立大学、国立病院、空港、博物館、研究所などは、土地や建物だけでなく、中身のソフト価値(ブランド力を含む)も加わるから、時価ベースでは相当な額になる。売却によって収入は幾らでも増やせるのだ。

 

 

国民全員で日本の黒字発展の方法を考える

こうした益出しを毎年行った上で、売れないもの、売るべきでないもの──内閣府や裁判所、各省庁の基幹部分、造幣局や印刷局、警察庁、防衛庁、国立公園等の国有地などを基本財産として、時価ベースで資産評価を行う。

この時価評価総額を元手として日本国家株式会社の株式を1株10万円で売り出すわけだが、仮に国民全員が1株ずつ持ったとしても約12兆円の資金が集まる。NTTでも時価総額で9兆円前後だから、日本国家株式会社なら、もっと大きな時価総額になるに違いない。

こうすると首相が社長、公務員が社員、国民が株主という形になる。その結果、これまでどこか他人事だった行政が、自分自身の問題となり、「補助金さえ引き出せれば、国の経営がどうなろうが知ったことではない」という人は減っていく。

生前に松下氏は、「アメリカはアメリカ産業株式会社というものをつくって国家の運営をしている」と指摘した。「大統領=社長」「役人=社員」「国民=株主」として、みんなで「どうすればアメリカが儲かるかということを常に考えて」いることがアメリカの強みだという意味だ(注4)。

同様に、日本も「日本国家株式会社」にすれば、首相も、公務員も、国民も、黒字発展(会社の価値が上がること)を望むようになる。まさに松下氏の言う「衆知を集める」ための仕組みが出来上がるわけだ。

(注3)財務省「国有財産の概要」(2003年度)より。下図参照。なお国の資産規模は全体で840兆円(「国の財務書類」)。道路、河川、海浜などを含めた有形固定資産は261兆円になる。
(注4)『感動の経営ちょっといい話』(PHP文庫)

 


 

どこまで売れる? 国有財産

 

国有財産総額102兆2,215億円

(2004.3.31現在)

 

土地7兆4,038億円

米軍提供分 3兆1,469億円→売れない

地方への貸付地 2兆2,549億円⇒売れる

未利用等 9,157億円⇒売れる

山林・原野等 3,016億円⇒開発して売れる

 

 

建物工作物他1兆2,213億円

行政財産50兆5,022億円(49.4%)

公用財産40兆7,145億円

防衛施設 13兆4,793億円→売れない

庁 舎 等 11兆7,712億円⇒売れる

国立学校文教施設 9兆7,283億円⇒売れる

空港施設 2兆1,532億円⇒売れる

国立病院など 1兆7,584億円⇒売れる

刑務所など 9,954億円⇒売れる

裁判所施設 8,285億円→売れない

※東京大学 1兆2,989億円⇒売れる

 

 

公共用財産7,577億円

新宿御苑 858億円⇒売れる(ちなみに時価は土地だけで推定1兆28億円)

皇居外苑 841億円⇒売れる( 〃 15兆705億円)

海の中道海浜公園 713億円⇒売れる

沖縄記念公園 369億円⇒売れる

明石海峡公園 506億円⇒売れる

 

皇室用財産4,777億円

皇 居 2,193億円

赤坂御用地1,506億円

京都御所 467億円

 

 

企業用財産(国有林野事業)

8兆5,521億円⇒開発して売れる

 

普通財産51兆7,193億円(50.6%)

政府出費等43兆941億円

公 庫 1兆3,648億円⇒売れる

公 団 6兆1,002億円⇒売れる

事業団等(中央競馬会 帝都高速度交通営団など)

11兆2,423億円⇒売れる

独立行政法人(博物館 研究所など)

6兆4,072億円⇒売れる

 

 

〔参考〕   省庁別所有財産ランキング

(1)財務省 46.2兆円

(2)内閣府 15.6兆円

(3)文部科学省 10.0兆円

(4)農林水産省 9.0兆円

(5)国土交通省 8.9兆円

(6)厚生労働省 6.7兆円

 


 

赤字は悪である

「2.収入の範囲内で生活するという原則で国家経営をやります。税収と各種土地・建物の売却益で支出をまかなうようにします。赤字たれ流しの自覚を持つこと。均衡経営を目指すことが大事です。」

 

言うまでもなく、「収入の範囲内で生活する」ことは、家計であれ、企業であれ、国家であれ、経営の最も基本的な原則だ。二宮尊徳や西郷隆盛、渋沢栄一など優れた財政家も、口を揃えて「入るを量って出ずるを制す」と言っている(現在は逆に、出ずるを量って入るを制しているようなものだ)。

ここで大切なのは、生前の松下氏が繰り返し説いた「赤字は悪」という考え方だ。この11月に死去した経営学者ドラッカーが指摘しているように、利益とは「事業継続に必要なコスト」に他ならない。にもかかわらず、「政府は儲けてはいけない」と考えて、利益を無視して赤字をタレ流せば、国家の事業経営はいずれ破綻するしかない。日本はまさにこの状態に陥ろうとしている。

アメリカでは、広大な砂浜の地面を企業に広告スペースとして開放し、無料で清掃させ(その分税金が浮く)、かつ広告収入を得るケースもあるという(注5)。今求められるのは、こうしたビジネスセンスだ。日本もアメリカを見習って、赤字解消のための知恵を絞るべきではないだろうか。

(注5)砂浜に清掃車に付けたローラースタンプで型押しして広告を作る。広告主に「ゴミを捨てないで」というメッセージを義務付けたところ、ゴミの量が2割減った。

 

 

インフラ整備で資産価値の向上を

「3.国土のインフラ整備のための建設国債は借金とは考えません。これは国民のための財産形成をしているので、次世代にも財産として残せるものです。原野・山林が開発によって資産価値が向上したら、もうかったと考えるべきです。」

 

長期的には、収支のバランスだけでなく、「ストック重視」の姿勢も大切だ。

借金を返すための赤字国債は借金のための借金でしかないが、将来大きな富を生むインフラ整備のために発行した建設国債は、借金というより投資だ。

必要のない国有財産は売却するにしても、市場価格のつかない資産──原野、山林など─を開発して資産価値を高めれば、ストックとして保有するにせよ、売却するにせよ、儲かることになる(ちなみに森林、原野、立木竹などの現在額は約7兆円)。植林事業や道路の敷設、学校の建設など、方法はいろいろあるだろう。

ほかにも、道路や鉄道などの交通整備、港湾開発、空港の整備などは、きちんと次世代に財産として残せるような形で開発すれば、決してムダな公共事業ばかりとは言えない。特に首都圏の交通インフラの整備は、国民のニーズも、経済効果も高い。ムダな資産は減らす必要があるが、国民に利益をもたらす資産はいくらあっても困らないのだ。

要するに、いくら借金しても大きくなればいいという旧ダイエー型の「借金経営」から、優良な資産を持ち、利益の蓄積を図る松下型の「ダム経営」に切り替えようというわけだ。

 

 

警察・自衛隊でも「稼げる」

「4.警察関係予算は、目的税として、国民生活安全保障税として別税化します。税金をたくさん払った人を警察は手厚く警備します。」

「5.防衛庁予算も、目的税として、国民生命安全保障税として別税化します。この税金をたくさん払った人には、災害時には自衛隊が急行して救出します。また外国の軍隊に攻められた時、海外で犯罪に巻き込まれた時、手厚く生命の安全を守ることを約束します。」

 


 

「安全」が売れる時代

松下霊の提言は「警察と自衛隊に民営化はあり得ない」という常識を覆すものだが、どう理解すればいいのだろうか。

どんな組織も、収入を確保しなければ運営は成り立たない。東京の警視庁の予算は約6000億円だから、都民一人当たりでは年に約5万円。また、防衛費は国民一人当たり年に約3万8000円。実は現在でも、4人家族ならば年間約35万円で「安全を買っている」計算になる。

治安の悪化が進む近年は、民間の警備会社と契約する家庭も珍しくない。いまや「安全」が売れる時代だ。今回の提言は、「“お金儲け”から最も縁遠い警察や自衛隊でも稼げる。ましては他の分野ならば、収入を上げる知恵はいくらでもある」と発想の転換を求めているものでもあろう。

法律の制約は度外視して警察の手厚いサービスを考えてみると、多様なニーズが考えられる(上表)。警察はこれまで通り治安維持や犯罪摘発を行った上で、手厚いサービスを望む家庭や企業には、追加料金として「国民生活安全保障税」を払ってもらうというイメージだろう。

 

 

税金は行政サービスへの対価

自衛隊による手厚いサービスも何ら不思議ではない。冷戦後、世界ではアメリカやイギリスの軍特殊部隊出身者が設立した「民間軍事会社」(民間特殊警備会社)が活躍している。各国政府・国際機関の要人や企業トップの警護、テロ対策など危機管理サービスを提供し、日本企業も顧客となっている。海外在住者90万人、海外旅行者1500万人前後の今、自衛隊が担えるサービスは多い。

災害時には、自衛隊は通常の救援活動を行う一方で、追加的に「国民生命安全保障税」を払っている家庭や企業、マンションなどに急行し、契約者の生命の安全を確認する。一種の保険サービスのようなものだが、これが本当の「生命保険」かもしれない。

この提言は実は税金の本来の形に立ち返るものでもある。税金はもともと個々の行政サービスの対価として払うもの(利益説)だった。しかし、より簡単に税金を徴収するために、一つひとつの行政サービスの明細とは関係なく、税金を払う能力がある人から十把一絡げに徴収するという何ともアバウトな現在の考え方(能力説)に変わった。その結果、政府の膨張を招きやすくなった。行政サービスの明細に合わせて税金を払うという「利益説」の復活は、「小さな政府」の実現に不可欠な考え方だといえる。

 

■考えられる警察サービス

●自宅や企業への巡回や

●ポリスボックス設置

●子供の送り迎え

●ストーカーに悩む女性の警護

●外国人窃盗団対策のコンサルティング

●移動時のパトカーによる先導

 

■考えられる自衛隊サービス

●海外での企業トップらの警護

●海外駐在員誘拐事件の解決

●海賊対策の海上警護

●テロ対策のコンサルティング

●災害時の生命安全確認・救助

●有事の優先的避難

        (いずれも法整備が必要)

 


 

大企業がM&Aで病院経営に進出

「6.医療予算を削減するためには、大企業にできるだけ多くの病院経営を引き受けてもらいます。大企業による病院のM&Aを促進し、経営指導をさせ、かつ、従業員や取引先の人々の医療費を安く(値下げ)させるよう努力させます。たとえばトヨタ病院が日本に100あるだけでもかなり違うでしょう。病院の赤字は企業との連結決算で節税効果を出させるとよいでしょう。」

 

現在、年間の医療費は30兆円を超えており、そのうち8兆円が国庫負担となっている。この国庫負担分を減らせば、国の支出は削減できるわけだが、単に減らすだけでは、それだけ患者の自己負担が増えてしまう。現に今のところ、自己負担増と診療報酬の低下という方向で医療費圧縮議論は進んでいる。

そこで、そうした〝犠牲〟を生むことなく、医療費を削減するために、経営努力によって「安い医療」を実現する必要が出てくる。かといって医療が高度化する中では、優秀な医師と高価な設備が必要で、コストは跳ね上がる一方だというのが実情。この矛盾を解決するには、まさにコスト軽減と利益向上、顧客満足度アップという相反することを実現する、優れた企業経営者の経営力が必要となる。

現在、公立病院の8割近くが赤字で、私立病院の赤字は2割弱と言われる。2004年に日本経済新聞社が行った「経営充実度」病院ランキングでは、上位100位のうち85が民間病院。ベスト10にはトヨタ記念病院、松下記念病院、NTT東日本関東病院といった企業系の病院が入っている。やはり経営力では、企業系の病院が強いと言えよう。

例えば、トヨタ記念病院では、「かんばん」方式の導入で薬の不良在庫を減らすなどして黒字化に成功。病院長が回診時に患者からサービスに関する要望を聞いて回るなど、経営努力を怠らない。その結果、「安全重視」でも「医療の質」でも上位にランクされており、今では利用者の大半はトヨタ関係者以外の人が占め、地域の医療機関として不可欠な存在となっている。実際、同病院のある豊田市は人口30万人以上の中核都市にもかかわらず、市立の市民病院は存在しない。

現在、株式会社による病院経営は事実上認められていないが、法律を改正し、大企業による病院のM&Aができるようになれば、トヨタ並みの効率経営が広がるだろう。

改善が進むまでの期間、しばらく赤字が続くとしても、100%子会社にすれば、連結納税で節税効果も出せるため、必ずしも企業にとって大きな負担になるばかりとは言えないだろう。

 

 

「株主」の国民に対して省庁幹部は責任を負う

「7.公務員の半分を民間企業からの出向者とします。そして業務の簡略化、スピード化、サービス・アップに努力させます。お役所の意識改革も進むはずです。仕事の削減とスピードアップに成功した民間人は早く元の会社に戻れるようにし、安月給の期間が短くてすむようにします。」

「8.同時に、役所の次官、局長クラスを民間会社の社長、重役からスカウトします。これでかなり成果が上がるでしょう。」

 

 

幹部クラスは総退陣!?

「国家公務員の人件費を10年間かけてGDP比で半減」──。郵政民営化に続く構造改革を論議する政府の「経済財政諮問会議」(議長・小泉首相)が11月、合意したものだが、松下霊の提言も決して現実味のないものではない。

経営者としての生前の松下氏は、経営不振時の従業員解雇に慎重な優しさと、事業の成果を徹底して重視する厳しさを持っていたので、今回の提言もこの両面から解釈できる。

一つには、長期的に民間人を入れることで、公務員のタイムベース・マネジメントやコストの意識改革を促すねらいだろう。かつてヤマト運輸と郵政省が小包配達をめぐって戦ったとき、スピードとサービスにおいてヤマト側が圧勝したことがあった。この事例は、いかに役所にタイムベース・マネジメントの意識が欠如しているかをよく教えてくれている。

また、コスト意識に関しては、2月に開港した中部国際空港は公務員出身者の中にトヨタ出身者が入った株式会社で、建設費を22%(1730億円)も削減。デートスポットになるような「にぎわいのある空港」を実現した。これなどはまさに、公務員と民間人がタッグを組んで成功したいい例といえよう。

 

 

天下の人材を生かしきれ

一方、厳しい目で見れば、「国は莫大な赤字を垂れ流し、株主である国民に損失を与えている」ので、閣僚はもとより省庁の幹部クラスも責任を取り、「総退陣」は避けられないという見方も成り立つ。

すでに小泉内閣は数多くの民間人を要職に起用している。総務相として地方行政にも切り込む竹中氏も、もとは大学教授。「経済財政諮問会議」民間議員の奥田碩経団連会長(トヨタ会長)らも政権運営をリードしてきた。「次官、局長クラスの民間会社からのスカウト」は、現在のスタイルを省庁にまで拡大するということになる。本誌のまったくの独断だが、下のような面々が並ぶ姿は、いかにも「かなりの成果」が期待できる強力政府だ。一方で、公務員の優秀な頭脳を民間で生かせる場面も多いだろう。

松下氏は「百花繚乱」という言葉が好きだったという。「すべての人を天命の下に生かしきりたい」という愛情が込められた表現だ。この提言にも、そんな松下氏の「天下の人材を生かしきり、日本を繁栄へと導きたい」という願いが込められていると言えるだろう。

 


 

衆知を集め、無税国家への道を

 

出でよ「国家経営者」

松下幸之助氏が晩年、神奈川県茅ケ崎市に創設した「松下政経塾」で松下氏の薫陶を直接受けた元塾生   は、この新提言について「松下さんが赤字会社や工場を再建するときの手順とまったく同じ」と語る。

つまり、赤字の垂れ流しという出血をまず止める。そのためには大胆な外科手術が必要だ(提言1.~3.)。次に、栄養をつけるため「稼げる商品」を強化する。その際、生前の松下氏はヒントは与えても「こうしなさい」とは絶対言わず、とことん自分で考え抜かせた(提言4.、5.)。その上で、他の人の力を借りる(提言6.~8.)。松下氏は「儲かっているうどん屋でもそば屋でも『教えてください』と頭を下げればいい」と言っていたという 。

企業経営者としての松下霊の目には、国が瀕死の重態に陥っていると見えるのだろう。

生前の松下氏は日本の政治について、「どんなに国民ががんばっても、政治がダメだったらどうしようもない。100年に1人でいいから本当に国を経営する政治家が出てきてほしい」と語っていたという。その国家経営の本質を具体化したのが、生前及び今回の新たな「無税国家論」と言えよう。

先の衆院選では、道路公団や郵政の民営化を強力に推し進めてきた小泉首相の政治姿勢と手腕に圧倒的な支持が集まった。小泉首相には残りの任期、無税国家へと道を開くような、さらなる改革への努力を期待したい。

タグ: ムダ遣い  増税  本気  21世紀  無税  国家    

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