来年秋の米大統領選の共和党候補の指名争いで、元外食チェーン経営者のハーマン・ケイン氏が米ウォールストリート・ジャーナル紙などの支持率調査でトップとなり、注目を集めている。

この調査では、ケイン氏27%、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事23%、リック・ペリー・テキサス州知事16%。

ケイン氏は討論会での飾らない態度が好印象を与えているが、政策的には9%のフラットタックス(一律税制)が支持を得ている。

所得税、法人税を一律9%に減税する。そして、アメリカにはない消費税を創設し、これも9%とするというもの。連邦所得税は35%(最高税率)、法人税も35%だから、超大胆な減税案だ。

これを「999プラン」と名付け、討論会でも主要な論争テーマとなり、「小さな政府」を信条とするティーパーティー支持者らが惹きつけられているという。

こうした減税では「税収が減る」という懸念があるが、ケイン氏は「税制をシンプルにすることで、富裕層が節税対策に苦心する必要がなくなり、税収は増える」と強調する。

その言葉に説得力があるのは、極貧家庭に育ちながら食品企業を渡り歩き、ハンバーガーチェーンの立て直しをやり遂げるなど企業経営の現実を知り尽くしているためだ。

ニューヨークのウォール街での若者らのデモについても、「職がなく、金もないなら、自分を責めろ」と若者たちを叱りとばした。

アメリカン・ドリームや自助努力の精神を体現したケイン氏に注目だ。(織)