中国・北京の人民大会堂で9日、辛亥革命100周年記念大会が開かれたが、二つの注目すべき動きがあった。

一つは、死亡報道も出ていた中国の江沢民・前国家主席が式典に出席して健在ぶりをアピールし、重体説や脳死状態説を吹き飛ばしたこと。

江氏は次期国家主席となる習近平・国家副主席の後ろ盾の一つである「上海閥」のトップ。江氏が公式舞台に10カ月ぶりに現れたことで、上海閥は結束を強め、来年の共産党指導部の入れ替えに大きな影響を与えそうだ。

もう一つは、胡錦濤国家主席が台湾に平和統一を呼びかけたこと。辛亥革命の指導者である孫文は中国でも台湾で「中国革命の父」と英雄視されており、胡主席は孫文が「統一は全中国国民の願いである」と語ったことを引き合いに出して台湾独立を牽制した。

来年1月の台湾総統選挙では、「中台統一」のスタンスの強い国民党の馬英九氏が再選される可能性が高いとみられているが、中国側は馬氏を“援護射撃”するために「平和統一」の呼びかけを行ったのだろう。

来年秋には習近平・新国家主席が誕生するが、馬氏と習氏との首脳会談がそう遠くない時期に開かれるかもしれない。

台湾総統選挙は、日本の命運をも分けるものになる。(織)