枝野幸男経産相が13日の記者会見で、「債権放棄」発言をして物議をかもしている。

福島第一原発事故で、政府が東京電力を支援する前提として、債権者や株主にも一定の負担を求める方針を明らかにしたのだ。

枝野経産相は5月にも同様の発言をしている。

具体的には、東京電力に融資をしている金融機関に対して債権放棄を求める内容だが、これを実施するとどうなるか。

現在、金融機関が東京電力に貸しているお金は約4兆円。この一部が返ってこないということになれば、当然、金融機関はこれ以上東京電力にお金を貸し出すことはできなくなる。

すると、東京電力の側からすれば、金融機関からお金を調達する手段を奪われる。

金融機関からお金を貸してもらえないとなれば、信用を著しく失うから、社債や株式を発行して資金調達をしようとしても、お金は十分に集まらない。実際に、東京電力の株式は14日まで4日連続で下落している。

結局、国から支援してもらう以外に方策がなくなる。

こんなことをすれば、東京電力もダメになる。松葉杖で済むケガだったのに、無理やり寝たきりの状態にさせることで、脚力を失わせ、やがて自分の足で立てなくなるようなものだ。

また、税金投入と引き換えに、金融機関が損失をかぶらなければならない理由はない。

金融機関の経営に不安が生ずれば、日本経済に与える影響は小さくない。

先任大臣の「原発ゼロ発言」も困ったものだが、新任大臣の「債権放棄発言」も、先行きが思いやられる。(村)