沖縄県石垣市、与那国町、竹富町の教科書採択をめぐり、県教委の不当な介入で、保守系の教科書の採択がひっくり返され、左翼的な教科書に逆転採択された問題で、石垣市教委が県教委に対して、採決の無効を求める行政訴訟を検討していることを、11日付産経新聞が報じている。
記事によると、10日、保守的な教科書の採択に賛成した石垣市と与那国町は、文部科学省と県教委に対して、協議無効とする申し立てを文書で行った。石垣市は「石垣と与那国は(逆転採択の)採決協議に合意しておらず、協議自体が無効で違法性がある」として、今後、文科省が採決を有効と判断すれば、行政訴訟の手続きに入るという。
県教委の不当な介入は許されないが、問題がここまでこじれた今、文科省が仲裁に入り、もともと3市町の採択協議会で選んだ保守系の教科書にするのが筋だ。しかし、文科省は積極的に問題解決に動かない。その理由は2つの点で説明できる。
まず、政権与党である民主党そのものが、左翼の牙城とも言える日教組に支えられている点。御存知の通り、野田内閣の下で民主党幹事長に就いた輿石東氏は、山梨県教職員組合を支持基盤とする日教組の大物である。2点目は、民主党が打ち出す「地方分権」という思想。「地方のことは地方で」というのは権限委譲として歓迎できそうだが、裏を返せば、「政府は責任をとりません」ということだ。
これは、沖縄の普天間基地移設をめぐる問題の本質と同根だが、保守的なスタンスもちらつかせる野田内閣の本音を明らかにする踏み絵の一つとして注視したい。(格)