鉢呂吉雄経産相が5日、新聞各紙のインタビューで今後の原子力政策について「基本的に原発はゼロになる」と述べ、完全な脱原発を目指す考えを示した。
発言内容は以下の通り。
「新設は難しいし、寿命がきた原発は廃炉にしていくという方針は、首相とも共有している。既存の原発の敷地内での新たな原発の建設もできないだろう。基本的には原発はゼロになっていく」
つまり、1)新規の原発建設はしない。2)敷地内の原発の建て直しもしない。3)寿命がきたら原発は廃炉にする――という方針を示し、遠からず「原発ゼロ」になるというわけだ。
2030年までに新増設が予定されている原発14基はすべてストップすることになる。
ある意味、菅直人前首相よりも方針が明確だ。
やはり、「党内融和」だけを考えて組閣したツケが早くも出てきている。
鉢呂氏は旧社会党グループで、民主党の各グループから満遍なく入閣させたため、たまたま経産相に滑り込んだ。
鉢呂氏は農協職員だった1990年に無所属で衆院選に立候補し、初当選後、社会党入り。その後、民主党に移ったが、政治スタンスは典型的な「左翼」議員だ。
これまで国旗・国歌の法制化に反対票を投じた。日朝友好議連に加入し、外国人参政権の付与には賛成の立場。集団的自衛権の容認には反対している。
筆者も鉢呂氏を取材したことがあるが、歴史認識は「日本がいかに犯罪国家であるか」を強調する徹底した自虐史観の持ち主だった。
つまり、鉢呂氏は原発問題について、イデオロギーに基づいて判断するだろうということだ。市民運動家の菅前首相に日本のエネルギー政策はブレーキをかけられたが、鉢呂氏によって完全に破壊されてしまうのではないか。(織)