15歳未満の患者からの脳死臓器提供を可能にした改正臓器移植法の全面施行から、17日でちょうど1年が経った。

この1年間での脳死臓器移植は計55件。初めて臓器移植法が施行されてから今回の改正までの13年間では、平均で年7件に満たなかったが、法改正をきっかけに8倍ほどになった。

しかし、「脳死が人の死」であるという臓器移植法の前提には、やはり疑問符がつく。医療機関を対象にした読売新聞のアンケート調査では、脳死と判定された15歳未満の子ども20人のうち、実に12人が30日以上生存したことがわかった。入院時点から、2年以上も生きていたケースもあったという。

脳死判定から30日以上経過しても生存している状態は「長期脳死」とされ、生命力の強い子供のケースのほうが、大人よりも多い。本人の意思表示がなくても家族の承諾があれば臓器移植は可能であるため、家族の決定が子供の死期を決めることになる。だが家族の判断に影響するこの「長期脳死」について、家族にどれくらい説明するかは、明確な基準がないまま医師に任せきりになっているという。

医学的に未解明な要素が大きいことが、長期脳死について家族に伝える基準を定める際の障害になっているという。「医学的に未解明」というのはつまり、人間の死はいつか、医者は定義できないということである。それならそもそも、脳死臓器移植などは医者の著しい越権行為ではないだろうか。