関西電力が10日、電力を供給している企業や家庭などのすべての顧客に対し、7月から電力の使用を昨年のピーク時に比べて15%減らすよう要請することを発表。期間中は、東京電力に融通していた余剰電力もストップする。また、九州電力が節電の検討を始めるなど、逃げ場のない状況に国外脱出を図る企業も出ている。
本欄でもたびたび指摘してきたが、関電が15%の節電を求めるのは、日本に広がる原発アレルギーによって、定期検査を終えた原子力発電所が再稼働できないためである(※)。昨夏と同じ水準の猛暑で電力需要が高まった場合、供給能力が200万キロワット不足しかねない。
東京電力、東北電力管内で7月から発動される電力使用制限令とは違い、関電の場合は強制力がないが、震災後、節電を嫌って西日本に拠点や工場を移した企業にとっては大きな打撃だ。さらに、九州電力が節電要請の検討に入り、北海道電力が11月には東京・東北電力管内に電気を融通できなくなるなど、全国的な電力不足が顕在化し始めている。
この状況をチャンスと見ているのが、中国である。江蘇省では工業団地を整備して、日本の自動車部品の中小メーカーを誘致しているが、最近は、企業単位ではなく産業全体での海外シフトが進む。首都圏の町工場でも、生き残りをかけて中国シフトを加速させる企業も出てきた。
菅首相はいたずらに浜岡原発を停止させ、それを称賛したマスコミは、事故以来、原発の危険性をあおり続けてきた。その結果、日本中に原発の稼働を許さない雰囲気ができあがり、節電を余儀なくされ、企業が次々と海外に逃げ出している。日本経済を自滅させないためにも、政治家やマスコミはこれまでの“罪”を謝罪し、原発の必要性を訴え、一日も早く、日本中の原発を稼働させるべきだ。(格)
※5月26日付:「配給社会」をつくる電力使用制限令
( http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2056 )
6月1日付:新設の島根原発までも稼働延期
( http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2098 )
【参考記事】2011年7月号「原発を救え!」