消費税増税の動きを見せ始めた政府だが、閣僚らで構成する政府税制調査会が所得税の最高税率の引き上げも検討し始めた。7日付日本経済新聞が報じている。
社会保障と税の一体改革原案では、消費税率を2015年までに10%まで上げるほか、さまざまな税制度を見直す。所得税は現行40%の最高税率を引き上げることが検討される。これは、富裕層からより多くの財産を取り上げ、貧困層に分配して所得を公平にしようとする「所得の再分配」の考え方にほかならない。公平感を出すのが狙いだが、増税を進めれば、さらに経済が落ち込むだけだ。
そもそも、高所得者を狙い撃ちにして、税という形で財産を奪おうとするのは、財産権の侵害であり、憲法第29条に反する(第29条 財産権は、これを侵してはならない)。
マルクスの『共産党宣言』では「私有財産の廃止」が掲げられ、その方策の一つに「強度の累進税」が挙げられている。昨年末の税制改正では相続税の最高税率が50%から55%に引き上げられたが、累進課税がこのまま強化されれば、日本が共産主義化していくことにもなりかねない。(吉)
【参考記事】もし憲法9条で国を守れるとしたら(第Ⅱ部)