30日付朝日新聞は、同紙が青森県民を対象に28、29日に電話で実施した、県内の原子力発電所に関する世論調査の結果を1面に載せている。記事の見出しは「中止48%、推進25%」と、県民の意志が原発中止に傾いている印象を与える。だが調査結果をよく読むと、次のようにそれほど単純ではない。

1. 現在、県内で建設中の原子力発電所2基については、「建設を中止するほうがよい」という人が48%を占め、「建設を進めるほうがよい」の25%を上回った。

2. だが、県内に従来からある東北電力東通原発1号機や核燃料サイクル施設について「県民が受ける利益と不利益では、どちらが大きいか」という質問には、「利益のほうが大きい」が43%で、「不利益」32%を上回った。

3. 2と同じ質問について、実際に施設が集中している下北半島を中心とする地域では、利益51%、不利益26%で、利益のほうが大きいと感じている人が過半数を占めた。

4. 「利益のほうが大きい」と答えた人の中でみると、建設中の原発について「建設を進めるほうがよい」42%が、「中止するほうがよい」37%を上回った。(以上、同紙より)

以上から分かるのは、原発関連の施設が集中している地域の住民で、日頃から原発に身近に触れている人ほど、原発は「不利益より利益のほうが大き」く、建設中の原発も「進めるほうがよい」と思っているということだ。裏を返せば、原発の実態を知らない人ほど「やめたほうがいい」と思っていることになる。

一般国民が原発の是非を判断する材料の90%以上は、新聞やテレビなどのマスコミ報道だ。もしマスコミが原発の必要性を示す情報をあまり流さず、リスクを強調する情報を中心に流した場合、世論は容易に「脱・原発」に誘導される。その場合、当のマスコミによる世論調査の結果が、現実に即した公平かつ賢明なものである保証はどこにもない。あのヒトラーのナチス政権さえ、情報統制のなかで国民の多数決から生まれたことを忘れてはならない。

幸福の科学の大川隆法総裁は5月8日の法話「破邪顕正」で、こう述べた。「こうした(善悪の分からない)風潮の中で民主主義を推し進めても、基本的な基調が善悪の判断ができない方向で進んでいるなら、間違った価値判断の流れの中で多数決をやっても、よい政(まつりごと)はできるはずがない」。(司)

※本日発売の本誌7月号特集「原発を救え!」では原発の反対派と推進派両方のインタビューを掲載し、読者の客観的判断の材料を提供しているので、ぜひご一読をお勧めしたい。

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「原発を救え!」

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