今月ワシントンで開かれた米中戦略経済対話では、人民元問題や核拡散の問題といった、米中間の懸案が話し合われた。対話から見えた米中関係の現状について、新アメリカ安全保障センターのダニエル・ギアリン、パトリック・クローニン両研究員が、23日付のディフェンス・ニュースで以下のように分析している。

  • 対話では初めて、ネット空間や海の安全の問題が扱われたが、大きな進展はなかった。議論が過熱すると、相手方の問題を持ち出してきて反論する「ホット・ポテト・ゲーム」となっている。軍高官を初めて対話に招いたのは歓迎されるべきサインではあるが、米中の戦略にとってそれほど重要ではない。
  • ネットや、海、空、宇宙の公空間をめぐる争いが激しくなる中で、米中が戦略の計算ミスのリスクを(対話を通じて)減らそうとするなら、この対話は一つの土台にもなろうが、それは脆弱な土台である。
  • 対話が示したのは、双方が時間稼ぎをして自分側の立場が有利になるのを待っているという米中関係の現状である。アメリカは中国が「責任ある利害関係者」になるのを、中国は自国の国力と国際的な影響力が高まるのを待っている。
  • 軍拡競争や偶発的な紛争のリスクを考えれば、対話によって米中関係の見通しが立ちやすくなることは、一つの成果と言える。しかし、米中関係の本当の試練はまだ来ていない。

中国の国力がアメリカに肉薄するにつれ、両国関係は対立に向かう可能性が高いが、キューバ危機の例などもあるように、一定の対話のチャンネルを持っておくことは、不用意な紛争などの事態を防ぐ上で大切である。アメリカは中国との意思疎通を図りながらも、軍拡や人権といった問題について、毅然たる姿勢を崩さずに臨むべきである。

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