日本で一番高い横浜ランドマークタワー(296メートル)より高いビルが、中国の人口2千人の農村にそびえ立つ。中国の「超高層ビル」の乱立を20日付朝日新聞が報じている。
上海から北西に車で約2時間半の江蘇省華西村。共産党村委員会書記を46年間務めた村のトップ、呉仁宝氏によると、建設費約30億元(1元=12.5円)のこのビルは、高さ328メートルの世界有数の超高層ビルで、「村成立50周年の象徴」になるという。
この農村は1961年から闇で工業化を進め、ネジ製造で爆発的な利益を上げてきた。村の事業を株式会社化し、いまは傘下の鉄鋼業や紡績業が好調だというが、人口2千人の村に高層オフィスビルは一つもなく、地方政府の視察団を相手に観光業を興す予定。入場料は、「上海環境金融中心」(492メートル)の展望台料金の3倍以上。ホテルも相場より相当高い。
呉氏は、もし視察団が予定通り訪れなかった場合には、「村民に年3万元、ホテルで消費してもらえばいい。そのために年3万元のボーナスを支給する」と語っている。
中国は今年、日本を抜いてGDP世界第2位になるのが確実視されているが、バブル崩壊を経験した日本人の感覚からすると、中国の経済実態は極めて危険で不安定なものに見えるだろう。株式で事業を拡大しながらも、国民感覚は計画経済から抜け出していない不思議さには、形容しがたいものがある。多くの専門家が指摘するように、中国バブルの崩壊は避けて通れないか。
中国は軍事だけでなく、経済でも世界の覇権を目指しているようだが、自由主義経済のあり方について、まだまだ日本やアメリカから学ぶべき点は数多い。(雅)
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中国の農村に328メートルタワー
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