東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城、福島の3県で、震災後に職を失い、失業手当を受け取る手続きを行った人が10万6461人(厚生労働省の集計)に上ったと、19日付の読売新聞が報じている。

記事によると、実質的に「震災失業者」を示すこの数字は、震災発生翌日の3月12日から5月13日までの2カ月の間に、失職や休業でハローワークを訪れた人数。震災前の前年同期と比較して2.4倍になった。震災に関係のない自発的な退職や定年退職も含まれるが、厚労省は「通常の景気変動ではあり得ない変化で、多くは震災による失職者と考えられる」という。

なお、失業手当は、本人の年齢や保険加入期間などに応じて最長360日間、離職前の賃金日額の50~80%が給付される。震災で企業が休業した場合、解雇されなくても手当を受けられ、給付日数は60日間延長される。

10万人を超える失業者が出たことで、今後、膨大な手当の支払いが生じる。菅政権はこれを理由に「増税」の必要性を説くかもしれない。しかし、このニュース・クリップでも何度も書いてきたように、経済そのものが低迷した時期に増税などしたら、消費が一層冷え込み、日本経済は立ち直れなくなる。

今、菅政権がやるべきは、新しい仕事の創出、雇用の創出であり、それは国のトップの思いひとつで実現できる。そのヒントは、民主党が嫌った「コンクリート」にある。

たとえば、海岸に高さ20m級の堤防、非常時には避難場所にもなる津波に流されない頑丈な高層建物、コンクリートのビル内の野菜工場などの建設である。こうした復興ビジョンを描けば、直接、建設に携わる人以外にも、資材の製造・輸送、周辺地域での飲食や宿泊の需要などが生まれ、建設後も、その「コンクリート」は地域の発展を支えてくれる。

民主党政権は誕生以来、事業仕分けに代表されるように、自民党時代のさまざまな政策を否定(破壊)してみせることで国民の支持を集めようとしてきた。政権の座に就いてから1年9カ月が過ぎようとしているが、そろそろ自分たちで新しい価値を「創造」すべきではないか。(格)

※現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。近日中に有料購読に移行予定です。

【5月19日分ニュースクリップ一覧】
震災失業10万人で菅政権の打つ手とは?
国家公務員給与削減は増税を狙ったパフォーマンス
中国と民主党政権の埋めがたい戦略性
東京一極集中は悪くない
枝野「債権放棄」発言に反論続々
菅首相も、「発送電分離」検討を明言