19日付読売新聞に、中国が北朝鮮、イラン、パキスタンのそれぞれと軍事協力を進めていることを示唆する記事が掲載されている。

中国は17日の国連安保理非公開会合で、北朝鮮制裁委員会を補佐する専門家パネルの報告書の公開に事実上の拒否権を行使したという。その報告書には、北朝鮮とイランが「隣の第三国」を通じて弾道ミサイル技術を相互供与しているとの指摘が盛り込まれていた。第三国とは中国を指している。

また、中国にはパキスタンのギラニ首相が17日から訪問している。ビン・ラディン殺害で米パの相互不信が深まるなか、今回の首脳会議では、両国が共同生産している新型軽戦闘機「JF17」を新たに50機供与するとともに、パキスタン独立記念日の8月14日に合わせて共同で衛星を打ち上げるなど、軍事協力のさらなる拡大が合意されたという。

中国の視界は、東アジア、西太平洋に留まらず、中東地域まで射程に収めてさらに拡大しつつある。もはや尖閣事件などは、中国にとって準備運動に過ぎないのではないかと思えてくる。

日本の国会では18日、ようやく参院が憲法審査会規定を制定し、憲法改正原案の審議から国民投票までに必要な制度がすべて整った。しかし、民主党は衆参の審査会委員の選任は先送りする構えで、実際の始動は見通しが立たない。共産、社民両党を除く各党が審査会規定に賛成するなど、憲法論議に肯定的な政党が圧倒的多数であるにもかかわらず、民主党内では「憲法問題が新たな党内対立の火種になりかねない(同日読売新聞)」という見方が強いためだ。

憲法さえも政権延命や自己保身の材料としか考えられない民主党の姿を見て、中国は高笑いをしているに違いない。(雅)

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