18日付日経新聞に、欧州政策当局者とも人脈の深いSCCOインターナショナル会長デビット・マーシュ氏のユーロ危機に関するインタビューが掲載されている。以下その要約。

  • ギリシャ、アイルランド、ポルトガル以外にも、さらに危機は連鎖するだろう。ユーロ加盟国3カ国が支援を要請したことで、通貨統合は当初の目的から完全に逸脱した。
  • ユーロ圏は団結か大混乱かの岐路にある。予想では、ドイツに限らず、オランダ、フィンランド、フランスも小国に無制限に資金を出すことはできない。現在の通貨統合は終わるだろう。
  • ドイツの大手銀行のギリシャ国債保有は、すでに欧州中銀への売却などで減ってきており、ギリシャの債務再編で大きな損失は被らない。
  • (ユーロ分裂)は2~5年のうちに起こると思う。

一時はドルに次ぐ第二の基軸通貨とまでもてはやされたユーロだが、経済規模がまるで異なる23もの国が同じ通貨を使うことの非現実性が、誰の目にも明らかになってきた。2010年に財政赤字の粉飾が発覚したギリシャ危機の時点では、「EUは通貨統合から財政統合にまで進む必要がある」という提言が散見されたが、今やそれに賛同する加盟国が一体いくつあるだろうか。

一方、中国の温家宝首相は17日、ファンロンパイEU大統領との会談で、「中国と欧州は手を携え、国際金融危機と欧州の一部の国の債務危機に対応するなかで協力を拡大してきた」とし、欧州の一体化を引き続き支持する意向を表明した。「中国・EU大学」の創設も目指すという(同日付日経新聞)。

EUの“市場の統合”が崩壊するのが先か、それとも、資本主義経済の広がりが中国の情報統制を破るのが先になるか。いずれにしても、経済的発展を続けるには、自由が最大限に保障されなければならない。(雅)

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【5月18日分ニュースクリップ一覧】
あと2~5年でEU分裂!?
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