枝野幸男官房長官の13日の記者会見での発言が物議をかもしている。
問題になっているのは、東京電力への公的資金注入に関して、金融機関が東電への債権放棄に協力することが前提になるとの考えを示したこと。
各メディアの報道によれば、大手行の東電向け融資は4兆円規模で、震災前に実行した分は約2兆円。この2兆円が債権放棄の対象となる。しかし、そんなことをすれば、銀行は巨額の損失を計上しなければならない上、大量の不良債権も生じる可能性がある。
実際、枝野発言を受けて、銀行株は急落しており、金融機関が経営危機に陥れば、電力会社だけでなく、日本経済全体が深刻なダメージを負うことになる。
枝野氏は、東電への融資に関して「原発事故のリスクというものも広い意味では、当然のことながら考慮に入れて融資がなされるというのがマーケットの基本だ」と言っているが、銀行にとって、こんな迷惑なことはない。
マグニチュード9の地震、高さ10メートルを超えた大津波、突然の政治判断による浜岡原発の全面停止――。これらのリスクをあらかじめ考慮に入れることは可能なのだろうか。そのリスクを考慮しなかった責任を銀行に押し付けるのは無理があるし、そもそも政府自身がまったく考慮できていなかったはずだ。
電力会社にとっても今回の発言は迷惑だろう。
電力会社は今回の震災で株価を大幅に下げ、社債の発行や銀行融資などの資金調達が困難になっていた。そこへ公的資金注入の条件として半ば強制的に銀行に債権放棄を迫れば、電力会社にとって資金調達源は事実上公的資金だけになってしまう。
枝野発言は、日本経済の破壊を狙っているとしか思えない。枝野氏の仕事を整理するとこうなる。
- 公的資金の注入の条件として民間からの資金調達をできないようにし、電力会社を国家の管理下に置く。
- 銀行に東電への債権を放棄させ、巨額の損失を計上させて金融機関を経営危機に追い込む(その結果、不況を全国全業種に広げる)。
- 原発を止めて電力の供給を落とす(枝野氏は13日に15%の節電目標も打ち出している)。
まさに、「電気」と「お金」という経済にとって最も重要な血液が回らないように、意図的に画策しているとしか思えない政策だ。
戦前に関東大震災が起きた時、巨額の不良債権が発生したが、綱渡りながら必死の取り組みで不良債権の処理を講じていたにも関わらず、3年半後に当時の大蔵大臣の失言によってマスコミや大衆の不安を煽ってしまい、金融恐慌を招いたことがあった。
枝野発言は、下手をするとこの3年がかりの恐慌へのプロセスをわずか2カ月でもたらしかねないほど、危ういものがある。
このままでは日本経済は根底から破壊されてしまう。大川隆法・幸福の科学創始者兼総裁が指摘しているように、本当に日本経済が3分の2に収縮してしまう可能性が出てきているのだ。(村)
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【5月13日分ニュースクリップ一覧】
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