内戦状態が続くリビアでは、NATOの軍事作戦が長期化する可能性が強まっている。

カダフィ大佐率いる政府軍は、中部のミスラタなどで激しい反撃を続けている。一方で反体制側では明確な指導者が現われないまま、リーダーシップがはっきりしない状態であり、兵士の戦闘技術にも不利が見られる。

NATOの作戦をめぐっては、戦略の不備がますます問題視されてきた。イギリス、フランス、イタリアは、19日から相次いで、反体制派への軍事顧問団の派遣を決定した。これについて外交問題評議会副会長のジェームズ・リンゼー氏は、「顧問団がすぐに現場の軍事バランスを変えるわけではないが、地上軍派遣に欧米は乗り気でないから、結局は戦略の欠如が現地の犠牲者をいたずらに増やす結果を生んでいる」と論評している(21日 CNN.com)。

戦線がこう着状態に陥ったのを見て、21日にオバマ米大統領は遠隔操作での攻撃能力のある無人偵察機の使用を許可した。アメリカはこれまで側面支援に徹しているが、アメリカなしにNATOが十分に戦えないことが日が経つにつれ明らかになってきている。米紙ウォールストリート・ジャーナルは22日付の社説で、「NATOの実力を示そうとする試みはこれまで、アメリカ抜きには何もできないことを実証するだけになっている」と論じている。

アフガンとイラクの二つの戦争を抱え、アジアでは中国の軍拡への対応の必要性が高まる中で、アメリカにとってリビアへの深入りはやはり難しいだろう。そうすると現在の軍事作戦を継続しつつ、停戦と和解の道を探るのが最善だろうが、その際には英仏米が条件としているカダフィ退陣の実現が焦点となる。NATOはじきに撤退すると見込んでカダフィ側が粘る一方、これを砕くだけの軍事力投入をNATO側は望んでいないため、両者のにらみ合いが続いており、リビア作戦は徐々に我慢比べの様相を呈している。

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