6日付英紙フィナンシャル・タイムズは、NATO軍によるリビア攻撃の主導的地位から米国が退いたことに対し英国がどう感じているかを伝えている。以下、抜粋要約。
・英国の国防専門家たちの考えによれば、今回の米国の動きは長期的に見て、ヨーロッパが今後は近隣諸国の安全保障をワシントンに頼るわけにいかなくなったことを意味している。
・米国のニコラス・バーンズ前NATO大使いわく、「NATOの62年間に及ぶ歴史上、米国が明確なリーダーシップを握らなかった作戦行動は今回が初めてだ。それでもワシントンは、アフガン戦争とイラク戦争という重荷を負っているので、英仏軍による今回のリーダーシップを歓迎している」
・財政逼迫から経費節減に努めたいオバマ政権は「リビアは米国にとって死活的な利害問題(a vital interest)ではなく、軍事行動の先頭に立つべきはヨーロッパとアラブ諸国だ」と主張している。
・今回の危機はヨーロッパの協同体制に疑問を投げかけた。英仏両国は密接なパートナーシップを築いたが、ドイツの不参加はヨーロッパの防衛にとって失望である。ある英国高官は「ドイツのメルケル首相の決定は、ヨーロッパの多国間協力関係を求める人々にとって多大なダメージを与えた」と話している。
軍事費を節減したい米国に、もはや「世界の警察官」は期待できない――。そんな時代の変化を痛感した英仏の緊張感が伝わってくる。もはや米国に頼れるとは限らないという現実を前に、日本も英仏同様、自分の国や周辺地域の安全には自分で責任を持つという当たり前の覚悟を固める必要がある。(司)
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