東日本大震災が、アメリカ経済を揺らし始めている。

4月4日付ウォール・ストリート・ジャーナル(日本版)の社説では、「震災の影響は日本だけに留まらず米国にも波及し、ありとあらゆる製造業が主要部品不足の事態に直面している」と指摘する。

記事では、アップル社のiPodやiPhone、iPadの生産が滞る可能性に言及。これらの製品の電池に使用される主要化学材料の工場が被災したからだ。

フォード、GM、クライスラーの自動車メーカーも、「自動車用半導体から車体塗料の一部色素に至るまで日本からの輸入に依存している」ため、部品の供給不足による生産の遅延や停止を危惧している。

同日、ブルームバーグでも、コラムニストのウィリアム・ペセック氏が、震災で日本からの部品供給が減ることから、次のように論じている。

「日本の輸出品の代表は自動車、電子機器、鉄鋼、テレビゲーム、重機、マンガ、ハローキティだが、今年はこれに『インフレ』という新しい品目が加わるだろう」

まるで日本発の世界不況が起きるかのような論調だが、それだけ日本経済の存在感があるということだろう。しかし、これは世界貿易における日本製品の価値が改めて見直されるという前向きな話では必ずしもない。

4月1日付フィナンシャル・タイムズでは、「日本の製品と日本の資金は世界で重要性が低下する」と予測。円相場も「長期的な傾向は間違いなく下落」と悲観論を展開する。

日本からの供給が止まることで、中国や韓国、台湾が、それまでの日本の地位に取って代わるべく、準備を進めているからだ。

復興の成否は、日本の不況脱出の可否だけでなく、世界の経済覇権地図を塗り替えかねないことになりそうだ。(村)

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