菅直人首相が1日の記者会見で、東日本大震災の被災地再生に向けて「エコタウン」などの街づくり構想を披露した。11日までに有識者や地元関係者からなる「復興構想会議」をつくり、具体策を練る予定だ。
2日付の朝日新聞、読売新聞が報じるところによると、菅首相は「世界で一つのモデルになるような新たな街づくりを目指したい」と述べ、「山を削って高台に住むところを置き、海岸沿いの水産業(企業)、漁港などまで通勤する」「植物、バイオマス(生物資源)を使った地域暖房を完備したエコタウンをつくり、福祉都市としての性格も持たせる」と説明した。
だが、これでは肝心の津波対策にはなっていないのではないか。やはり、まずは津波を防ぐための高い堤防を築かなければならない。また、今回、東京にも区間停電の影響が及んでいるように、安定的な電力供給のために、ダム建設をして水力発電を推進していくことも必要だ。
読売によれば、政府は当初、関東大震災の際につくられた「帝都復興院」をモデルに、復興庁の新設も検討したそうだが、それならば、その当時、後藤新平・帝都復興院総裁や本多静六博士が打ち出したような72メートル幅の巨大道路や鉄筋コンクリート建築による不燃化、上下水道の整備、耐火構造の小学校など、もっと大きなスケールでの街づくりを考えるべきだ。
さらに、菅首相は漁業など1次産業の再生も掲げているが、それならば「漁業は海岸沿いで行う」というような既成概念は捨てて、山村部で海水魚を養殖する技術の開発を推進していくべきだろう。また、ビルの中で野菜を作れる野菜工場であれば、自然災害だけでなく、放射能の被害も避けられ、安心して食料が確保できる。
今、必要なのは大きな復興ビジョンであり、一国の総理にはそのビジョンを描くことが求められる。(吉)
【参考記事】動画「震災復興への道」 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1619
【参考記事】「世界を救う日本の知力」 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=610
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